李在明(イ・ジェミョン)政権が新たな原子力発電所の建設計画を確定した中、2030年代初頭の韓国の「原発密集度」は、原発への依存度が最も高いフランスの3倍に達することが分かった。いかなる国も経験したことのない「超高密度原発国家」となるのだ。一つの用地に複数の原子炉を設置する「多数号機」の危険性もそれだけ高まる見込みだ。
10日にハンギョレが国際原子力機関(IAEA)の原発情報システム(PRIS)の資料などをもとに計算したところ、原発の総設備容量(メガワット)を国土面積(平方キロメートル)で割った韓国の原発密集度は、2033年に0.311で最高値に達する。これは2位のフランス(昨年0.111)の約3倍、米国(0.010)の30倍にのぼる圧倒的な水準。この計算は、昨年末時点で26.1ギガワット(密集度0.261)の韓国原発の総容量、現在建設中の1.4ギガワットの原発4基(セウル3、4号機と新ハヌル3、4号機)の完成、稼働延長が推進されている老朽原発9基の稼動が慣行通り各10年延長されることを前提としている。2033年には10万210平方キロの国土に29基の原発が設置される、との前提だ。
年別に見ると、現在0.261の密集度は今年中にセウル3、4号機が加わることにより0.289に上昇し、新ハヌル3、4号機が完成する2032~2033年には過去最高の0.311にまで上昇する。問題は、現在の李在明政権が確定した第11次電力需給基本計画(電基本)が老朽原発の稼動を「10年以上」延長することを前提としていること。古里(コリ)2号機(0.65GW)はすでに稼働が10年延長されており、11次電基本によると2033年にも再び延長される。古里3、4号機、ハンビッ1、2号機などのその他の老朽原発も「退役」できない状態で新たな原発が2基(各1.4ギガワット)が建設されると、原発密集度は2038年には0.344にまで上昇する。
この結果は他の主要国とは明らかに異なる。2025年から2038年までの13年間で、韓国の原発密集度は0.083(31.8%)も上昇するが、同期間に2位のフランスは小幅上昇(0.016)にとどまる。フランス政府が計画中の新たな6基の原発がすべて建設されても(61ギガワット→70ギガワット)、密集度は韓国の3分の1の0.127に過ぎない。国土面積が韓国の5倍を超えるからだ。現在3位の日本(0.087)も、停止している原発を再稼働しても密集度は0.090~0.100とわずかな上昇にとどまる。建設中の原発だけで30基に達する中国は、同期間に密集度が2倍以上に高まるが、0.06から0.12~0.15への上昇にとどまる。中国は、稼働中の原発は59基にのぼるが、国土面積は韓国の96倍あるため、密集度は低い。結局のところ、韓国の原発密集度は2030年代に他国とは異なり、大幅に急上昇する。
「多数号機」の危険性は、複数の原発が密集することで高まる。地震などの大規模災害の際に複数の原発が同時に機能を失うと、1基の事故よりも致命的になるからだ。原発産業界では、4基が同時に津波の被害を受けた2011年3月の福島第一原発事故以降、多数号機の危険性が強調され、米国原子力規制委員会(NRC)はその年の10月に初めて「多数号機危険度評価」を発表し、10基の原発の危険性は1基の単純な合算である10倍を超え、19~20倍に達すると分析した。これにもとづき、国際原子力機関(IAEA)も2012年に加盟国が順守すべき「安全基準」に「原発設計時に多数号機の影響を考慮すべき」という条項を追加した。
多数号機の危険性は、実際に様々な問題を引き起こす。地震や津波、洪水、落雷、テロ、戦争といった脅威は、密集した原発に同時に影響を及ぼす。また原発は1ギガワット以上の大型設備であるため、放射能漏れのような問題がなくても突然停止すると電力網を大きく動揺させる。実際に、韓国水力原子力が2020年6月に作成した「新古里5、6号機(セウル3、4号機)竣工(しゅんこう)に準えた古里-セウル本部疎外電力系統建設基本計画」と題する文書では、新古里と慶尚南道北部をつなぐ765キロボルトの2本の送電線がいずれも故障した場合(二重故障)、6.2ギガワットの新古里1~5号機が同時に停止することで、5ギガワット規模の広域停電が発生する可能性があると分析されている。この規模は2011年に発生した「9・15輪番停電」の5倍。
問題は、現行の国内の法令と制度がこの問題をきちんと扱っていないことだ。原子力安全委員会の告示にある事故管理計画書に「同一用地内の複数の原発の同時事故発生の可能性を考慮しなければならない」という条項があるだけだ。
先日、気候エネルギー環境部が第11次電基本にもとづいて建設を決定した新たな2基の原発の候補地としてあがっているのは、蔚山市蔚州郡(ウルサンシ・ウルチュグン)、慶尚北道の盈德郡(ヨンドックン)と蔚珍郡(ウルチングン)など。蔚州は古里原発、蔚珍はハヌル原発があり、新たに原発を建設すると古里には11基、ハヌルには12基が密集することになる。盈德は新たな用地だが、災害時に住民が避難すべき区域となる放射線非常計画区域(半径30キロ)のすぐ北(38~40キロ)にハヌル原発、65~70キロ南には月城(ウォルソン)原発があるため、密集の危険性からは逃れられない。
密集度が高いというのは、狭い国土に過剰に多くの原発があるということだ。それだけ事故の危険性も高まる。エネルギー正義行動のイ・ホンソク政策委員は、「核発電所が広い国土に分散している国では、事故が起きても被害は特定の地域に限られるが、韓国の場合はそうならない可能性が高い」として、「今も国内の核発電所の70%が慶尚道地域に集中しているため、同地域の住民避難計画などは密集リスクを特に問う必要がある」と指摘した。
原発周辺には数百万人が住んでいるのに…
規定と法律が別々で安全性評価を無視
多数号機の危険性の要は、世界で韓国だけが抱えている問題だということだ。他国は密集度が韓国のように高くはないうえ、原発が一つの団地に集中しているわけでも、人口密集地域に位置しているわけでもないからだ。
新たに2基の原発を建設しなくても、すでにあるハヌルと古里の2カ所にはすでに9~10基の原発が密集している。これは世界の原発団地の密集度で1位と2位だ。次に密集度が高いのは中国の秦山(9基)、その次がカナダのブルース(8基)団地で、この2つは半径30キロ以内に住んでいるのは多くて数十万人。一方、韓国の古里周辺には実に380万人が住んでいる。
欧州最大のウクライナのザポリージャ原発は6基で韓国のハンビッ原発と同じ。フランスもグラブリーヌ(6基)を除くと残りの17の団地はすべて2基または4基で、国土全体に分散している。フランスは稼働中の原発数が56基で韓国(26基)の2倍だが、1団地あたりの平均原子炉数は3.1基で、韓国(5.2基)よりも少ない。
このような状況にもかかわらず、現行の国内法令と制度は多数号機の危険性問題をきちんと扱っていない。2015年の原子力安全法改正で事故管理計画書の作成が義務付けられるとともに、「多数号機の影響を考慮するほか、設備の共有を禁止せよ」などとする原子力安全委員会規則(原子炉施設等の技術基準に関する規則)が制定されたが、原発建設許可の過程では依然として論争がある。
実際に、セウル3、4号機(古里原発に隣接)が許可されて古里原発が10基となった2016年に「多数号機に対する『確率論的安全性評価(PSA:ありうるすべてのシナリオを考慮して総体的リスクを評価)』が必要だ」という声が一部の原安委員からあがったものの、「法的要件ではなく、今後、研究開発を行えばよい」として許可案は可決された。昨年の古里2号機の稼動延長の際にも「韓水原が提出した多数号機の安全性評価は形式的」だとの指摘がなされたが、「法的要件は満たされている」としてやり過ごされた。
原発業界は「多数号機問題は世界的にみても研究中の課題であるため、規制基準にすべきではない」と主張しているが、原子力安全と未来のイ・ジョンユン代表は「原発業界は方法論などを口実として多数号機の安全性評価を無視している」と指摘した。
2026/02/12 05:00
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/55435.html