【コラム】エネルギー源・サプライチェーン多角化、海外資源開発・投資を増やすべき=韓国(1)

投稿者: | 2026年5月1日

2月28日、米国とイランの間で戦争が勃発し、史上初めてホルムズ海峡が物理的に封鎖された。油田やガス田までが攻撃され、大量の死傷者が出る残酷な戦争が、停戦と開戦を繰り返しながら2カ月間も続いている。石油と天然ガスの供給が急減してエネルギー価格が高騰する中、世界経済が破局に向かわないことを願うばかりだ。

世界の石油の1日あたりの使用量の20%、液化天然ガス(LNG)使用量の25%が、この狭い海峡を通過して全世界に供給されている。イスラエルがイランのサウスパースガス田を空爆し、イランはカタールのガス田のラスラファンを攻撃した。その結果、湾岸地域全体の原油輸出量は1日あたり2500万バレルから約1000万バレルに急減し、約57%が消えた。1970年代の第1次石油危機では一日の使用量の7.5%、第2次石油危機では9%が減少したが、今回の戦争では一日の使用量の約10%に相当する量がホルムズ海峡で足止めになった。

 ◆電気料金を決める天然ガス価格

供給が減少したことでドバイ原油は1バレルあたり70ドルから170ドルまで急騰し、ブレント原油は126ドルに値上がりした。北東アジアの天然ガス現物価格指標JKMは2倍以上に上昇した。未曾有の今回の事態は大韓民国のエネルギー安全保障に対する厳重な警告であり、エネルギー安保を再設計するべき時期であることを示唆している。

大韓民国は使用するエネルギーの93%を海外から買い入れている。このうち原油の70.7%、LNGの20.4%がホルムズ海峡を通過する。国内の製油会社は中東産の重質油を輸入してガソリンや軽油、アスファルト、潤滑油などの石油製品を作り、ナフサを加工してプラスチック製品など日常生活で使用されるほぼすべての石油化学製品を生産し、国内消費と輸出を担っている。

原油価格の上昇は石油製品価格の上昇につながり、生活必需品や輸送費も上がる。さらに肥料価格にも影響を及ぼして食料価格を押し上げ、サービスや人件費にまで波及するため、全般的な消費者物価上昇圧力が強まり、日常生活全般が脆弱になるという結果を招く。

原油不足も問題だが、精製施設を持たない国の困難はさらに深刻だ。韓国は国内に製油会社があるおかげで、他国のように割当制や配給制をしていないが、欧州では航空燃油の暴騰のため航空便が1000便単位で欠航し、オーストラリアは精製施設がないため韓国からガソリンや軽油を最も多く輸入している。

原油価格が上がると、国内に導入される天然ガスの価格は約4カ月後に影響を受ける。このため夏の電気料金が上がる可能性が高まり、戦争が長引けば冬の暖房費も影響を受ける。オーストラリア、マレーシア、カタール、米国などから全量を輸入している天然ガスは発電や暖房のための必須資源だ。昨年、国内の電力生産の30%を天然ガスが担った。

発電比率より天然ガス価格の動向が重要なのは、天然ガス発電が電力卸売価格(SMP:系統限界価格)の大部分を決定するからだ。安価な原子力、石炭の順に発電し、電力需要が増えた際に追加で必要となる発電容量は天然ガス発電で対応するため、電気料金の決定に国際天然ガス価格が多大な影響を及ぼすしかない。

◆鉱物とレアアース安保戦略も必要

変化する戦争の様相はエネルギー資源の範囲拡大と電力安全保障の重要性を浮き彫りにしている。軍事施設や核施設のみならず、エネルギー施設やインフラ施設を攻撃することで、相手国のエネルギー源を根本から遮断し、ライフラインを断とうとする。発電所や変電所などの電力施設も攻撃の対象となっている。人工知能(AI)が導入され、安価なドローンによる精密打撃が可能になったことで、相手のデータセンターを攻撃してAIを活用した攻撃を無力化する必要性も高まった。AIは安全保障の核心資産であり、発電施設やデータセンターが重要になっている。

中東戦争がもたらす教訓は明白だ。単一のエネルギー源や単一の輸送路への過度な依存は国家安全保障の弱点となる。したがって、まずは多様なエネルギー源と多角化されたサプライチェーンの確保が必要だ。人類が使用するエネルギーの最終消費で見ると、熱エネルギーが50%、輸送エネルギーが30%であり、電気エネルギーはわずか20%にすぎない。すなわち石油や天然ガス、石油製品などの伝統的なエネルギー資源が依然として必要であり、さらには鉱物やレアアース(希土類)の安全保障までも考えなければいけない。戦争に備えるためには液体燃料であるディーゼル(軽油)が不可欠だ。米国は戦時には航空燃料ですべての戦闘燃料を準備する。

日常的なエネルギー安保や危機状況への対応のためにも適切な石油製品や石油化学製品を常に供給しなければならないため、多様なエネルギー源を多様なルートで調達できる商社機能のグローバルネットワークを確保しなければいけない。商社が世界中を駆け巡ってエネルギー源を確保した日本は今年末まで心配がない状態だ。

2つ目、海外資源開発に対する再認識と投資拡大が必要だ。輸入先を変えるだけでは十分でない。資源の上流部門に直接参入することが求められる。海外の油田やガス田に直接投資して持ち分を保有しておけば、追加で払っても資源が買えないような時期の対応能力が変わる。米国やカナダ、オーストラリアなどのLNG輸出ターミナルやパイプラインへの投資は、エネルギー安保とLNG運搬船受注を同時につかめる戦略だ。韓国ガス公社がLNGカナダプロジェクトを通じて持ち分を確保したおかげで、価格を問わず物量を確保することができ、現在その物量が韓国に届いている。こうした資源開発と海外の持ち分を長期的な観点で増やす必要がある。自ら所有する資源によってエネルギー安保を固めて、サプライチェーンの危機を乗り越えなければいけない。

2026/05/01 14:33
https://japanese.joins.com/JArticle/348471

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