イラン戦争の影が消えない中、北京で米中首脳会談が開催された。メディアを通じて目にした両首脳の姿からは、何よりも習近平国家主席の自信に満ちた様子がうかがえた。トランプ大統領は習主席を「あなたは偉大な指導者だ」と持ち上げたが、習主席はその言葉に賛辞で返すことなく、堂々とした態度を崩さなかった。
これは決して有利とは言えない米国側の立場を投影しているかのようだった。トランプ大統領はイラン戦争を早期に終えてから米中首脳会談に臨もうとして会談日程まで延期したが、終戦には至らなかった。米国はウクライナ戦争、ガザ戦争、欧州・ベネズエラ・キューバ問題なども抱えていて、その負担は大きい。国内的にもイラン戦争の余波でインフレ圧力、ガソリン価格高騰、支持率低下といった重荷を背負っている。
こうした状況下で開かれた会談で、習主席のいくつかの発言が目を引く。まず、習主席は米中両国関係安定の重要性を強調しながらも、「中国と米国はトゥキディデスの罠を克服し、大国関係の新たなパラダイムを構築できるだろうか」と問いかけた。トゥキディデスの罠とは、新興大国アテネの国力上昇が従来の大国スパルタに恐怖を与え、戦争が勃発したというギリシャの歴史家トゥキディデスの主張を現代風に解釈したものだ。台頭する大国の中国と、従来の大国の米国との対決が戦争に進むのを防ぐべきという趣旨だろう。この言葉には新たな米中関係樹立に対する習主席の自信が込められている。
2012年の政権発足当初から習主席は「対等な中米関係」構築を強く望んできた。「対等な中米関係」というコインの裏側は「中国の勢力圏の容認」だ。2013年のオバマ政権時代に米国に提案した「新型大国関係論」がその一例だ。両国が互いに核心的利益を認め合い、平和共存しようという主旨だった。米国は中国の前庭で中国と対決しようとせず、台湾や南シナ海などを含む東アジア地域における中国の勢力圏を認めるべきという意図が込められていた。結局、オバマ政権はこの要求を拒否した。
ところが今回、習主席は「大国関係の新たなパラダイム」をまた取り上げた。ここには中国が最近の対米関係で得た自信が作用しているとみられる。何よりも昨年4月に米国が中国製品に課した145%の関税圧力に、レアアース(希土類)カードで対抗して成功したという事実だ。これまで米国の圧力に押されていた中国が、今や自らのカードで米国に対抗できるようになったことを認識した。また、米国がイラン戦争に巻き込まれて出口を見いだせずにいる点も、中国側の自信を高めた。トランプ大統領は急いで脱出口を模索しているが、中国側に近いイランは持久戦に持ち込んでいる。
台湾問題に対する習主席の発言も目を引いた。米国が台湾を誤って扱えば両国関係が衝突するという、かなり強いトーンの警告だった。今回の首脳会談でトランプ大統領の関心事は経済問題に集中していた。中国が米国からボーイング社の航空機や大豆・牛肉といった農産物を大量に輸入することを望んだ。それが近づく中間選挙で有利に働くと考えたからだ。
しかし中国側の最大の関心事は台湾に対する米国の支援を弱めることだった。例えば米国が台湾の独立に「反対する」という明示的な発言を引き出したり、何らかの形で台湾支援を弱める意思を表示させたりすることだ。しかしトランプ大統領は台湾問題に関する記者の質問に答えなかった。慎重な態度を取ったのだ。トランプ大統領も台湾問題が非常に重要な問題であることを認識していたのだろう。もしトランプ大統領が短期的な経済的給付を中国から受け取り、台湾に関して何らかの形で譲歩するならば、それは韓国、日本、フィリピンなど米国の同盟国に大きな波紋を広げることになる。米国が同盟国と結んだ安保公約を中国との取引材料にするというシグナルを送ることになるからだ。
例えば、中国が米国に相当なインセンティブを提供すれば在韓米軍や在日米軍を削減できると仮定する場合、どうなるだろうか。これは米国と欧州間のNATO同盟体制が弱まるのに続き、アジア太平洋地域でも米国の同盟体制が揺らぎ始めたことを知らせる信号弾となる。そのような意味で、台湾は西太平洋地域が中国の勢力圏に組み込まれるのを防ぐ砦だ。台湾が崩れれば東アジアと西太平洋を中心に中国の勢力圏が形成され、米国の同盟国も非常に厳しい境遇に立たされる。
2026/05/16 10:56
https://japanese.joins.com/JArticle/349173