「うちの子たちは韓国のりが大好きで、それでご飯を巻いて食べているんですよ」
19日午後、東京・霞が関の農林水産省大臣室。鈴木憲和農林水産相が向かいに座った韓国人青年に対して家庭の食卓についての話を切り出した。相手は慶尚南道梁山(キョンサンナムド・ヤンサン)で日本料理店を経営しているシェフのク・スンミン氏(24)。
釜山(プサン)駐在日本総領事館の紹介を通じて設けられた席で、ク・シェフがNetflix(ネットフリックス)の料理サバイバル番組『白と黒のスプーン ~料理階級戦争~』に出演するなど、若い感性を前面に出して地域で活発に活動している点がきっかけになったという。
この日、鈴木農相は「日本米はどうか」「韓国でもっと人気が高まる可能性がある日本食材は何か」「豊洲市場と韓国の水産市場の違いは何か」など、さまざまな質問を矢継ぎ早に投げた。これに対しク・シェフは「韓国米もおいしいが、日本米は寿司やおにぎりを食べる時、口の中に残る味や、崩れずにまとわりつく感じが非常に良い」と語った。続けて「昨夜もコンビニで購入したおにぎりを3個食べて寝た」というク・シェフの言葉に、鈴木農相は大きく笑った。
また、ク・シェフは「豊洲市場で東北地方のウニを食べてみると、韓国でウニが苦手な人々が指摘する生臭さや苦味が全くなかった」とし、「日本のウニがもっと入ってくれば、韓国でも良い反応を得られるのではないか」と勧めた。
この日、鈴木農相はク・シェフに、ひもでつながった球を木製の皿で受ける日本の伝統遊び「けん玉」を自ら披露した後、「(私のように)一度で成功したら店を訪問しよう」と話したが、ク・シェフが成功すると「本当に成功した」と困惑した表情を見せたりもした。
鈴木農相はこの日、20分余りの懇談を終えながら、山形県産のコメと、そのコメで造った日本酒をサプライズプレゼントとして手渡した。ク・シェフが「東京・銀座の山形県特産品売り場に行った時、コメが最も関心を集めていた」と話したことを受けて、その場で準備した贈り物だ。山形県は鈴木農相の選挙区だ。
この日の行事は韓日食文化交流の場だったが、その背景には農林水産省が抱える輸出市場多角化という切迫した課題があった。
鈴木農相は昨年10月22日の就任初日の記者会見で、高市首相から受けた主要課題の一つが「現在1兆5000億円規模である農林水産物・食品輸出を2030年までに5兆円へ拡大すること」と明らかにした。5年以内に輸出規模を3倍以上に拡大しなければならない計算だ。
しかし状況は容易ではない。中国リスクのためだ。2023年8月の福島第1原発処理水海洋放出以降、中国は日本産水産物の輸入を全面中断した。その後一部緩和したが、昨年11月の高市首相による台湾有事関連発言以降、事実上全面中断された。日本政府としては、中国依存度を下げる代替市場の確保が急務となった。
こうした中、注目を集めているのが韓国だ。韓国は福島など8県については水産物輸入を禁止しているが、それ以外の地域については認めている。
農林水産省の統計によると、2024年の農水産物・食品の対中国輸出額は前年比29.1%急減したが、対韓国輸出額は19.8%増の911億円だった。米国・香港・台湾・中国など上位5市場の中で最も高い成長率を見せた。中国市場封鎖で行き場を失った日本産養殖ブリの韓国輸出額が89.7%急増したことが象徴的だ。
ただ、日本政府は韓国に対し、福島産水産物の輸入再開を望んでいる。日本政府関係者は「韓国側が望んでいる環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)への加入も、福島産水産物輸入が再開されなければ推進は難しい」と話した。
CPTPPは日本・オーストラリア・カナダ・ベトナム・シンガポール・メキシコなど太平洋圏国家が結んだ自由貿易協定だ。関税だけでなく、デジタル貿易、投資、知的財産権にまで拡張されており、韓国は加入を希望している。当初、李在明(イ・ジェミョン)大統領と高市首相による19日の首脳会談でもCPTPP加入問題が議題として扱われるとの見方が多かったが、日本側は「議題ではなかった」と明らかにした。
2026/05/21 09:33
https://japanese.joins.com/JArticle/349389