イランの駐日大使は、米国とイランの終戦を目標とした覚書(MOU)の締結に関連し、「最後の署名の瞬間まで米国を信用しない」とし、米国による恒久的な軍事侵略禁止の保証が前提条件だと述べた。イラン側は、日本が戦後のイラン復興に乗り出す場合、今後数十年にわたりエネルギー確保を保証できるという立場も示した。
イランのセアダット駐日大使は31日、東京新聞に掲載されたインタビューで、「戦争交渉における譲れない条件」を問う質問に対し、「最も重要なのは、あらゆる軍事攻撃、軍事侵略が、恒久的かつ保証された形で終わることだ」とし、「2015年のイラン核合意と同じように、国連安全保障理事会によって担保される必要がある」と述べた。これに先立ち、米国は2015年、英国、欧州連合(EU)、中国、ロシアなどと共同で、イランのウラン濃縮度制限と国際査察の受け入れを条件に経済制裁を解除する「イラン核合意」(JCPOA)を締結した。
しかし、3年後、ドナルド・トランプ米大統領がこの合意から一方的に離脱し、イランへの制裁を再開した。セアダット大使は「イランはウラン濃縮度を3.67%制限する義務を負った。しかし、米国が2018年に一方的に離脱し、制裁を再開した」とし、「米国は安保理決議も踏みにじった。だからこそ、今回はさらに強い保証の仕組みが必要だ」と主張した。イランはホルムズ海峡における米軍の封鎖解除とイラン資産の凍結解除も、終戦交渉の内容に加えているという。
セアダット大使は国際社会が注目するホルムズ海峡の通航料について、依然として「課される可能性」を排除しなかった。船舶の海難事故に対する救助活動や大規模な汚染には専門的な対応が求められた場合は、当然ながら費用が発生するとし、救助や汚染除去を無償で行うところはないだろうと主張した。自由で安全な航行と環境汚染防止、船舶間の事故防止を「管理」するために必要な費用を請求する可能性に言及したのだ。ただし、大使は現時点で何かが決まったわけではないとしたうえで、国際法に違反しない範囲で具体的な議論を進めていく方針を示した。
現在、米国とイランの交渉はパキスタン、カタールの仲介を通じて進められている。第1段階として「60日間の停戦延長」覚書を締結し、再延長された停戦期間中に核問題をめぐる協議をまとめる方式だ。しかし、イラン側は米国の交渉姿勢を問題視している。セアダット大使は、「米国側はメディアやSNSを通じ、『合意は間近だ』という雰囲気を意図的につくっている。しかし、その多くは根拠や正確性を欠く臆測にすぎない。いかなる国も、メディアを通じて交渉を進めることはないことはない」としたうえで、「最後の署名の瞬間まで、われわれは(米国を)信用しない」と述べた。
また、イランは日本と70年以上にわたる「エネルギー友好関係」を築いてきた点を強調し、戦後復興支援も要請した。日本は、イランが石油問題をめぐり西側諸国から海上封鎖を受けた1953年、日本企業の出光興産が密かにタンカーを派遣して原油を輸入したことを機に、緊密な「石油外交」を続けてきた。日本は1970年代の中東オイルショックの際にも、西側諸国と中東の間でバランス外交を展開した。セアダット大使は、今回の戦争後の日本への期待を問われると、戦後復興の過程で、日本とイランが相互に補完的な役割を果たせるだろうと強調した。さらに液化天然ガス(LNG)プラント整備への投資などを例示し、「日本企業が再びイランに戻ってくることを願っている」と述べた。
2026/05/31 14:10
https://japan.hani.co.kr/arti/international/56319.html