韓国人には読めない人名漢字【萬物相】

投稿者: | 2026年6月1日

 世宗の即位前の名は「祹」だった。「福をもたらす」という意味で、父の太宗が自ら名付けた。正祖の名は「祘」だった。「見守り、思いやる」という意味だ。どちらも日常生活ではめったに使われない漢字だ。あえて珍しい漢字を選んで王の名とした背景には、朝鮮王室なりの配慮があった。尊敬する人物の名前を避けて名付ける儒教の伝統を「避諱」という。王が「大」「天」「明」のような一般的な漢字を使えば、民衆に不便が生じるのは明らかだった。

 今では子どもの名前をつけるのに何の制限もない。ハングル名も増える傾向にある。「ウラム」や「スルギ」のように、たくましく知恵ある人生を願ったり、「ガウル」や「ノウル」のように、子どもの人生が一枚の風景画のようになることを祈ったりもする。

 問題は漢字名だ。一般の人には到底理解しがたい漢字名がある。大学時代、金という漢字が3つも入った名前を持つ友人がいた。「鑫」という珍しい漢字だ。「たくさんお金を稼いで金持ちになれ」という意味で、父親がつけた名前だと彼は言っていた。今は人文学者として暮らしている。太平の世にしか現れないという伝説の鳥「鸞」、野生の馬のように強靭な生命力を持つ黒い馬「驪」を名前に入れた例もあった。子どもに特別さを贈り、子どもの幸せを願って厳選した文字だが、この名前を読める人はごく少数だっただろう。名前1文字に30画を超える漢字もあった。

 それでもこれらの特異な文字は、韓国最高裁の「人名用漢字9389字」に含まれているものだ。最近、憲法裁判所は、娘の名前に「美しい」を意味する「婡(ラ)」を入れようとして役所で拒否された親の憲法訴願を棄却した。子どもの名前をつけることは親の大切な権利だが、先の9389字以外は政府のコンピュータシステムに入力できないという。憲法裁はこれにより生じる問題を防ぐためには、従来の枠組みを維持すべきだと判断した。漢字を公用語として指定している中国と日本もそれぞれ8105字、2999字と、人名用漢字を制限している。

 子どもの名前には、親の願いが込められている。健康と長寿、知恵と富、そのどれ一つも欠かしたくないというのが親心だ。しかし、難しすぎる重い漢字を使うと、子どもが名前の気運に押しつぶされてしまうという俗説もある。確かなのは、すべての親は名前が子どもの人生の足かせではなく、自らの人生の彩りを思う存分塗り込められるゆとりのある余白になってほしいと願っているという事実だ。金が3つ入った「鑫」という字を持つ友人は、名前に込められた財運をすべて享受することはできなかったが、息子と娘を一人ずつ持ち、それなりに幸せだと語っている。

魚秀雄(オ・スウン)論説委員

2026/06/01 07:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2026/05/28/2026052880070.html

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