「米中首脳は、北朝鮮の非核化という共通の目標を再確認した」。5月17日、ホワイトハウスがトランプ米大統領と習近平中国国家主席の首脳会談の結果に関するファクトシートで明らかにした内容だ。しかし翌日、中国外務省の郭嘉昆報道官はこれとは異なる趣旨の立場を示し、一週間後に開かれた中ロ首脳会談でも朝鮮半島の非核化に触れることなく、「外交的孤立や経済制裁、武力による圧力などで北朝鮮の安全保障を脅かすことに反対する」という、明らかに北朝鮮を擁護する声明を採択した。
5月19日に安東(アンドン)で開かれた韓日首脳会談の共同声明にも、「朝鮮半島の非核化」という項目は含まれなかった。これは、「朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和体制の構築に対する両国の確固たる意志を表明」した1月の奈良での首脳会談とは大きく異なる。一方、5月26日にインドのニューデリーで開かれた米国、日本、インド、オーストラリアの4カ国によるクアッド(QUAD)外相会談では、「我々は国連安全保障理事会決議(UNSCR)に基づき、北朝鮮の完全な非核化に対する我々の意志を再確認する」という正反対の共同声明が採択された。
このように、北朝鮮の核問題をめぐる各国の観点は食い違っている。米国と日本は「北朝鮮の非核化」という用語を明示的に使用しているが、中国とロシアは非核化という表現を避けている。韓国政府も同様だ。
一つ明らかな傾向は、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID・完全な非核化)を前提とした非核化パラダイムが勢いを失っているという点だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権と中国政府が強調してきた「朝鮮半島の非核化と平和体制の連携」戦略も、明確な成果を上げられなかった。「朝鮮民主主義人民共和国の非核化は絶対に、永遠にない」という北朝鮮の強硬な立場を考えると、従来のアプローチには限界があるとみられる。
こうした現実認識に基づき、最近では北朝鮮の核保有を過渡的に容認しつつ、核リスク管理に注力すべきだという主張が注目を集めている。北朝鮮の核武装力が日増しに増強されているのに、これを放置するわけにはいかず、かといって軍事行動のような強圧的な手段を取ることも難しいというのが冷酷な現実だ。したがって、空虚な非核化要求よりも、北朝鮮の核・ミサイル活動を中断させ、核とミサイルの兵器体系を段階的に削減していきながら、これに関連する朝鮮半島の安保上のリスクと危機を管理していこうという動きが浮上しているのだ。李在明(イ・ジェミョン)政権の段階的解決策がこれに当たる。中国とロシアのアプローチもこれと類似している。
米国の核専門家の間でも、「まず核リスクを管理してから、非核化を目指す」方式に同調する意見が少なくない。ジークフリート・ヘッカー博士はかねてより「中断、削減、廃棄」という段階的アプローチを提案しており、昨年5月にはカーネギー平和研究所のフランク・オム研究員とアンキット・パンダ研究員も 「安定的な共存」という構想を提示し、北朝鮮の核兵器保有を既成事実として捉え、核リスク管理と軍縮交渉に乗り出すべきだと提案した。ニューズウィーク誌は4月15日付で、「完全な非核化」という幻想から脱却し、北朝鮮の核という現実に合わせて交渉戦略を再構築することを求めた。かつて「完全な非核化」を強く擁護した米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ教授も、北朝鮮の核保有という現実をありのままに受け入れ、対話と交渉を通じて「冷たい平和」(Cold Peace)を模索すべきだと強調している。
彼らは口を揃えて、「完全な非核化」は非現実的なアプローチであり、緊張緩和と信頼構築、軍備管理、軍縮などを通じて、朝鮮半島の核および通常兵器によるリスクの安定的な管理が急務であると説いている。正しい主張だ。そのためには、次のようないくつかの先制的な措置が求められる。
第一に、「完全な非核化」という目標や用語の使用を避け、軍備管理、軍縮、拡散防止に重点を置く新たな交渉枠組みを構築しなければならない。また、米国と韓国が中心となり、非核化ではなく凍結・削減に向けた精巧な交渉ロードマップが策定されるべきだろう。
第二に、北朝鮮を「悪の枢軸」や「ならず者国家」とみなす限り、北朝鮮との対話や交渉の再開は難しい。北朝鮮に対する敵視政策を解消し、正常な国家として認める努力が先行されなければならない。その点で、米国は北朝鮮との関係正常化と北朝鮮に対する独自制裁(交流・金融分野)の解除を、交渉の第一段階(凍結)における誘因として提示する必要がある。
最後に、北朝鮮の核問題に対処する上で、朝米首脳会談は不可欠だ。その点で、朝米首脳会談は早急に再開されなければならない。過去とは異なり、今回の首脳会談では「核兵器の先制不使用」に関する宣言的合意が優先的に扱われるべきだろう。そして、こうした宣言的合意が拘束力を持つよう、中国、ロシア、韓国、日本が多国間枠組みを通じてこれを担保しなければならない。したがって、朝米と韓中日ロという「2+4」の協議体を、対話の初期段階から稼働する必要がある。
2026/05/31 18:27
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/56324.html