トランプ米政府が、日本の対米投資資金を活用して米国内に次世代原発を新設・増設する。米日両国は、小型モジュール炉(SMR)や天然ガス発電施設など3件、総額最大730億ドル(約11兆7000億円)規模の第2次対米投資パッケージを推進することで合意したと、日本経済新聞が12日に報じた。
今回のパッケージは、3月の高市早苗首相とドナルド・トランプ大統領の首脳会談に合わせて共同文書としてまとめられた。中核事業は、日立GEベルノバニュークリアエナジーが米南部テネシー州とアラバマ州にSMRを建設するプロジェクトだ。
事業規模は最大400億ドルになると推定される。残る2件は天然ガス発電施設で、東部ペンシルベニア州に最大170億ドル、南部テキサス州に最大160ドル規模の事業が推進される。
3事業はいずれも米国内の電力需要増加に対応するためのもので、生産された電力は最近需要が急増しているデータセンターにも供給される予定だ。ただし、まだ最終投資決定前の段階であり、両国は事業具体化に向けた協議を続ける方針だ。
ハワード・ラトニック米商務長官は、原発拡大の背景として急増する電力需要を挙げた。
同氏は「データセンターの開設や半導体事業の成長などで米国は電力を必要としている」とし、「原発には素晴らしい投資機会があり日米の長期利益に資する」と強調した。生成AIの普及によってデータセンターの電力消費が急増する中、安定的で炭素排出の少ない電源として原子力発電が再び注目を集めている。グーグル(Google)やアマゾン(Amazon)、マイクロソフト(Microsoft)など米巨大IT企業が相次いでSMRや次世代原発に投資してきたのも同じ流れだ。
トランプ政府は原発拡大に強力なドライブをかけている。2050年までに米国の原発設備容量を現在の4倍水準となる400GWに拡大し、2030年までに設計が完了した新規大型原発10基を着工状態に置くとの目標を掲げた。原発拡大を、AI競争力と製造業復興、エネルギー安全保障を支える中核インフラと位置付けているためだ。
今回の共同文書には、今後の検討対象として大型原子炉建設や、アラスカ州での米国産原油増産インフラなども盛り込まれた。ジャパンディスプレイ(JDI)の先端ディスプレー工場、米ファルコン・カッパーの銅製錬施設、データセンター向け大型蓄電池事業などについては、サプライチェーンや採算性の検討がさらに必要と判断され、今回のパッケージには含まれなかった。
米日両国はこれに先立ち、2月の第1次パッケージとして、ガス火力発電や原油輸出港の整備、人工ダイヤモンド関連事業など総額360億ドル規模の事業を決定している。2回のパッケージはいずれもエネルギー分野に重点が置かれた。これは昨年7月の関税交渉で日本が約束した5500億ドル規模の対米投資を履行する一環だ。
トランプ政府は、日本資金を米国内のエネルギーインフラの拡充に活用しようとしている。日本としては巨額の投資負担を負う一方、日立など自国の原発産業の米国市場進出基盤を広げる効果も期待できる。ただし、原発事業は認可や安全審査、費用負担、事故発生時の賠償範囲などを巡る調整が必要なため、実際の着工まではある程度時間がかかる見通しだ。
2026/06/12 14:20
https://japanese.joins.com/JArticle/350464