韓国インターネット企業大手のネイバーが2004年にウェブコミック事業を始める以前にもインターネット漫画はあった。ただ、それは漫画をスキャンしてインターネットに掲載しているだけだった。出版された漫画がそっぽを向かれた時代だった。そうこうしているうちにネイバーがスマートフォンに最適化したウェブコミック(韓国ではウェブトゥーンと呼ばれる)を披露した。ウェブコミックは、画面を下から上にスクロールさせて鑑賞する。その単純な変化が漫画離れしていた読者を再び呼び込んだ。
蘇ったウェブコミックは、二次創作の豊かな源泉となった。「ミセン(未生)」「キングダム」のような人気ドラマ、1千万人の観客動員を記録した映画「神と共に」はいずれもウェブコミックが原作だ。世界的なオンデマンド配信サービスの登場は、韓国のウェブコミックの世界進出に貢献した。ウェブコミック「梨泰院クラス」はドラマ化したものが日本で紹介され人気を集めると、日本版として「六本木クラス」が製作された。今や全世界150カ国で月に1億7000万人が楽しむ巨大ビジネスだ。ネイバーのウェブコミック事業による今年第1四半期の世界売上高は3億2600万ドル(約507億円)に達する。
特に日本での成功が目覚ましい。単行本の「マンガ」に慣れていた日本の読者に一定間隔でドラマのように続きを公開し、最初は有料で提供した後、時間が経てば無料公開するマーケティングで読者を引き込んだ。出版社が限られた紙面をごく少数の作家に与える閉鎖的な方式ではなく、アイデアとストーリーさえあれば、誰にでも無限大のインターネットを創作空間として提供し、新人を発掘した。ネイバーとカカオの現地法人は、日本のウェブコミック市場1、2位に浮上している。
ネイバーのウェブコミック部門は先週、米証券委員会に証券申告書を提出し、店頭市場ナスダック上場に乗り出した。韓国のウェブコミック輸出という枠組みを超え、海外の作家と彼らの新たなストーリーを探し出し、それをウェブコミック、ウェブ小説、ドラマとして製作する「グローバルストーリー生態系」をつくることが目標だ。企業価値が最大40億ドルに達するという見方も出ている。成功すれば、KドラマやK-POPに続き、もう一つのグローバル大衆文化産業へと飛躍することになる。
しかし、漫画産業の真剣勝負はアニメ分野だ。市場規模でウェブコミックを圧倒する。アニメ分野の絶対的強者は依然として日本だ。「火垂るの墓」「となりのトトロ」「すずめの戸締まり」など世界的ヒット作の大半が日本製だ。ただ、変化の兆しもある。韓国のウェブコミック「俺だけレベルアップな件」が全世界で149億ビューを達成すると、日本の製作会社が協業を提案し、今年初めにアニメーションとして放送された。韓国のウェブコミックには目もくれなかった日本の姿勢転換だ。K-POPがJ-POPを追いかけ追い抜き、韓国のウェブコミックは日本の「マンガ」を追い越した。韓国のアニメにもそんな日が来ることだろう。
金泰勲(キム・テフン)論説委員
2024/06/08 07:30
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