米国政府が対中人工知能(AI)技術遮断を強化する。ゲートオールアラウンド(GAA)、広帯域メモリー(HBM)などAIチップ製造時に必須の技術を制限することを検討中だ。
ブルームバーグは11日、消息筋の話として米商務省がこうした制裁を加える手続きに入ったと伝えた。半導体業界では米国が中国を相手に「AI技術の嘆きの壁」を建てるという意志を示したものと評価する。
◇米国、中国のAIチップ「芽を断つ」
GAAは電力消費を大きく減らしてAIチップの性能を引き上げる最先端半導体製造技術だ。サムスン電子が3ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセスで世界で初めて商用化に成功し、台湾TSMCと米インテルが次世代工程としてこの技術を使って半導体を生産する計画だ。
半導体を小さくするほど電力効率と性能が良くなるためGAAは未来のAIチップ生産に必須の技術に選ばれる。世界でこれを商業量産に適用できるファウンドリー(半導体委託生産)企業はサムスン電子、TSMC、インテルの3社だけだ。日本のラピダスは2027年に2ナノプロセスからGAA技術導入を目標にしている。AI半導体に搭載される先端メモリーであるHBMもやはり世界でサムスン電子、SKハイニックス、米マイクロンだけが生産する。
◇サムスン電子・SKハイニックスの影響は
半導体業界では「中国がGAA技術とHBMなくAI半導体を自給することは不可能だ」と予想する。バイデン政権が中国の先端AI半導体自立の芽を完全に切ろうとしていると評価される。ただ今回の規制が中国の独自のGAA・HBM開発能力を制限するのに焦点を合わせるのか、さらに踏み込んで米国や韓国などのトップ企業が中国企業に関連製品を売ることまで遮断するのかをめぐり議論中という。
米国が単純に中国の技術開発能力を抑えるのを超え、関連技術が使われた半導体を中国に販売することまで禁止する場合、韓国企業への影響は避けられない。すでに一部中国顧客がサムスン電子のGAA技術を使った3ナノプロセスを利用した事実が明らかになっていたりもする。多くの主要顧客がTSMCに先端半導体生産を任せている状況で対中販売制裁が現実化するならばサムスンは潜在市場のひとつを失うことになる。
HBM市場のトップであるSKハイニックスもやはり当面は米エヌビディアなどがHBMを「青田買い」しており商務省の追加措置時の打撃は限定的だが、長期的に主要需要先のひとつである中国市場をあきらめることになりかねない。
◇中国、「半導体崛起」掲げるが裏では悩み
米国の制裁にも今年5ナノプロセスにまで突入した中国も悩みが大きい。フィナンシャル・タイムズは2月、中国最大ファウンドリーであるSMICがハイシリコンが設計したチップを大量生産するため上海に新しい半導体生産ラインを構築すると報道した。ハイシリコンはファーウェイの半導体設計子会社だ。ファーウェイは今年SMICと独自設計のAIチップ「アセンド920」の5ナノプロセス生産に挑戦するという。現在エヌビディアの主力AI半導体がTSMCの4ナノプロセスで生産中であることを考慮すれば、中国が相当部分追いついた。
HBMの場合、中国政府主導のコンソーシアムが2026年の第2世代HBM2生産を目標に開発中だ。今年第5世代HBM3Eの量産を始めたサムスン電子とSKハイニックスと比較すると最小8年以上の技術格差が広がっている。中国がAIサーバーを拡張するためには当分韓国のHBMに依存しなければならない状況だ。
一方、中国の半導体業界では相次いだ半導体技術自立成果にもかかわらず「現在のような制裁の中でこれ以上先端半導体開発は難しいだろう」という悲観的な声が出始めている。ファーウェイの張平安クラウド最高経営責任者(CEO)は4月の行事で「(対中制裁により)先端製造装備をこれ以上求めることができず、3ナノ・5ナノプロセスは容易ではない。7ナノプロセスの量産だけしっかりやっても成功」と話した。
2024/06/13 09:49
https://japanese.joins.com/JArticle/319834