1999年に台湾でマグニチュード(M)7.3の地震が発生した時、TSMCの半導体工場は停止した。建物が崩壊することはなかったが、電力供給が途絶えたのが問題だった。2024年に再びM7.2の強い揺れに見舞われた時は違った。停電も、建物の損傷もなかった。地震発生から10時間で生産設備の70%が再稼働した。25年の間に、半導体工場が地震を乗り越える術を身につけたのだ。
一般の建物の耐震設計は、倒壊を防いで人が避難する時間を確保することが優先だ。半導体工場は、それだけでは十分ではない。ウエハーを生産する清浄空間であるクリーンルームには、1台数千億ウォン(1000億ウォン=現在のレートで約113億円。以下同じ)に上る最先端EUV(極端紫外線)露光機をはじめ、エッチング・蒸着・洗浄装置が立ち並んでいる。建物が無事でも、装置の位置や水平がわずかでもずれると生産できない。電力をはじめ、真空、特殊ガス、洗浄用の超高純度水の供給が瞬間的に途切れても、ウエハーは廃棄対象となる。人だけでなく、建物や装置、工程中のウエハーまですべて守り抜かなければならない。
そのため半導体工場には、揺れに耐えるだけでなく、地震の衝撃を「受け流す」技術を適用している。地盤と建物の間にゴムと鋼板で作った弾性支承(アイソレータ)を入れ、振動の伝達を減らす免震、建物の内部に減衰装置を設置して揺れを抑える制震工法を用いる。個別の装置は床に固定し、クリーンルームの床は平時の微細な振動まで遮断するように設計する。地震の信号が感知されると、化学物質の供給を直ちに絶つ自動安全装置も作動する。
建物の安全確認は復旧の始まりに過ぎない。ウエハーに回路を刻む露光機のような超精密装置は、位置や水平、光学系に狂いがないか確認した後、再び整列させ校正しなければならない。工程中だったウェハーは不良がないか検査し、超高純度水・電力・ガス・排気の配管も順に点検しなければならない。2024年の地震当時、TSMCの中核設備は無事だったが、一部ウエハーの廃棄と施設の被害により1200億ウォン相当(約135億円)台の損失を出した。
熊本にあるTSMC半導体工場もM7.1の強い揺れに耐え、段階的な再稼働に入った。ただ、建物が無事であることと、半導体が再び生産されることは別の問題だ。電気や水、ガスの供給システムはもちろん、部品や完成品が行き交う物流網まで安全かどうか確認されなければならない。台湾の「シリコンの盾」を守り、日本の「半導体復活」を裏付けるのは、先端回路だけではない。地震が襲った時に衝撃を減らし、危険な設備を安全に停止させ、生産ラインを迅速に復旧させること、結局は工学の力なのだ。
2026/08/04 14:00
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