日本の始祖は女神である天照大神だ。弟との闘争に勝ち、天上界の権力を握った。彼女の孫が日本に降り立ち、5代目の子孫が人間界の闘争で勝利して天皇となった。誰もが女性から生まれるのにもかかわらず、始祖神を女性とする国や民族は多くない。強靭な民族性を求めたためだろう。たとえ神話であっても、日本は皇族の血統が「女系」から始まった珍しい国だ。
▶日本には女性天皇が6人いた。「女王」といえば思い浮かぶイギリスに似ている。イギリスの女王のように歴史的な足跡もかなり残している。しかし、大きな違いがある。女系から始まったのにもかかわらず、男性皇族の子孫だけを後継ぎとする、日本の皇室の「男系」原則だ。女性は即位できるが、子に皇位を譲ることはできない。譲るためには男性皇族と近親婚をして血筋を認められなければならなかった。女性の血筋を徹底的に無視したのだ。男系の原則をイギリスに当てはめれば、父親がイギリスの王族ではないチャールズ3世は即位できないことになる。
▶明治維新以降、日本はこれにもう一つの事項を加えた。男性の血筋はもちろん、男性だけが即位できる「男系男子」の原則を法律として明記したのだ。しばらくの間は特に問題はなかった。日本は単一王朝であるため皇族が多く、側室も可能だった。明治天皇の後を継いだ大正天皇は側室の息子だ。ところが、敗戦と共に問題があちこちから噴出した。占領した米軍が、遊んで暮らしている皇族を多数追い出したのだ。側室も廃止された。すると、今の天皇をはじめとする残りの皇族たちには、しばらくの間相次いで女の子ばかり生まれた。跡継ぎが途絶える危機に直面したのだ。
▶簡単な問題のようだが、そうではない。女性天皇は歴史的な事例があるので受け入れられるかもしれない。しかし、「男系」の問題は複雑だ。女系を認めるヨーロッパでも、女王はヨーロッパの他国の王族と結婚して「華麗なる血統」を維持する。チャールズ3世の父親もギリシャとデンマークの王子だった。だが、日本の皇室はそうはいかない。日本では情緒の上で、混血の天皇は不可能だ。近親者でなければ平民が結婚相手となる。平民男性の子が天皇に? 多くが女性天皇に賛成している日本国民でも、この部分では首を傾げている。
▶日本は、米軍によって追い出されたかつての男性皇族を養子に迎え入れ、皇室の後継ぎをつないでいく方式に法改正した。「男系男子」を逆に強化したのだ。38親等まで可能だというのだから、他人同然の遠い親戚を迎え入れるということだ。日本の初の女性首相が法改正を主導したため、世論はなおのこと冷ややかだ。国連も「男女平等の原則に反する」と批判した。退行であることは明らかだ。しかし、すべての事がそうであるように、その国の事情をよく見極めれば、理解できる部分がないわけではない。
2026/08/06 06:00
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