「実用外交と歴史問題は二者択一の対象ではない…慰安婦問題、韓国政府が答えるべき」

投稿者: | 2026年8月11日

 「韓国裁判所が、日本軍による不法行為による被害について『日本政府が賠償すべき』という判決を下した訴訟の当事者は、イ・ヨンスさんお一人だけが生きておられます。もう99歳です。被害者がご尊命のうちに謝罪しなければ、日本政府は『謝罪しない国』として永遠に烙印を押されることになります。李在明(イ・ジェミョン)政権も、『戦争被害者』の法的権利の実現のために、政府として責任を果たさなければなりません」

 日本軍性奴隷制問題の解決のための正義記憶連帯のハン・ギョンヒ理事長は、世界日本軍「慰安婦」メモリアルデー(毎年8月14日)を迎え、7日にハンギョレと行ったインタビューで 「李在明政権発足から1年間で6回も行われた韓日首脳会談において、『慰安婦』問題が議題に上ったことは一度もなかった」とし、「韓国裁判所が下した世界史的な判決を日本政府が履行するよう、国家レベルでの努力を尽くすべきだ」と述べ、「日本政府による賠償判決の履行」に向けた政府の外交的努力を求めた。

 ハン理事長は、「李大統領が強調する『実用外交』と歴史問題の解決は『二者択一』ではない」という点を強調した。歴史問題が解決されて初めて両国が信頼を築くことができ、その土台の上で経済・安保協力も可能になるという意味だ。ハン理事長は「互いの信頼が機能しなければ、一瞬にして崩れかねないのが経済や安全保障だ」とし、「歴史問題を確実に決着させ、信頼を築いた土台の上で経済協力も安全保障協力も行ってこそ、長期的に両国関係が前進できる」と指摘した。

 ハン理事長が韓国政府の外交的努力を促す背景には、慰安婦の生存者であるハルモ二(おばあさん)たちの切実な要求がある。判決の当事者のうち、現在尊命なのは今年99歳になるイ・ヨンスさんただ一人。ハン理事長は「イ・ヨンスさんは『この問題を解決できる人は私しか残っていない』と考えている。『このままだと、姉さんたちに合わせる顔がない』と言っている」とし、「解決を切に望んでいる」と伝えた。

 これに先立ち、2021年、ソウル中央地裁は、故ペ・チュンヒさんら慰安婦被害者12人が日本政府を相手取って起した損害賠償訴訟において、一人当たり1億ウォン(約1120万円)の支払いを命じる判決を下した。その後、2023年にソウル高裁は、イ・ヨンスさんと故キム・ボクドンさんの遺族ら16人が同様の趣旨で提起した訴訟の控訴審において、主権免除の原則を理由に却下した一審判決を破棄し、日本政府に対し1人当たり2億ウォンの賠償を命じる判決を言い渡した。昨年には、清州(チョンジュ)地裁で故キル・ガプスンさんの息子であるキム・ヨンマンさんが提起した損害賠償訴訟において、日本政府が1億ウォンを賠償するよう命じる判決が下された。しかし、まだ誰も賠償金を受け取っていない。

 ハン理事長は、「大韓民国の裁判所が3回にわたり下した、日本軍『慰安婦』被害者を認め、日本政府による法的賠償を明記した判決は、被害者の『謝罪せよ』という要求を『(法的)義務を履行せよ』という要求へと転換させた世界史に残る判決だった」とし、「(ところが)肝心の韓国政府は、これを実現するために責任と権限を行使しようとする努力をほとんど見せていない」と指摘した。

 もちろん変化もあった。国会で「日本統治下の日本軍慰安婦被害者に対する保護・支援および記念事業などに関する法律」の改正案が可決され、慰安婦被害者を標的とした虚偽の事実を流布した場合に処罰できる法的根拠が生まれ、これに伴い、6年間にわたり旧日本大使館前の「平和の少女像」を保護するため設置されていた警察のバリケードが取り払われた。ハン理事長は「大統領は歴史を否定する勢力に対して強いメッセージを何度も発信したが、メッセージを発信するだけでなく、日本政府に賠償判決の履行を要求すべきだ」と語った。

 正義記憶連帯にとって、今後は「記録作業」が重要な課題となる。現在、慰安婦被害者の中で尊名なのはイ・ヨンスさんを含む5人だけだ。

 このため、直接証言していた被害者たちが全員亡くなった後の準備をしなければならないという声があがっている。ハン理事長は「実際の歴史的記録だけでなく、30年以上にわたる慰安婦被害者運動の記録も、人権回復のためのもう一つの歴史的記録となった。未来の世代を教育する上で極めて重要な資産となる」とし、「こうしたものをきちんと記録し、残して『記録のインフラ』を構築しなければならない」と話した。

 きちんと残された記録は、世代や国を問わず人々の心に響くというのが、ハン理事長の考えだ。日本軍「慰安婦」被害者の記録を収めた「戦争と女性の人権博物館」では、2024年から外国人来館者が国内の来館者を上回った。来館者の60〜70%が外国人だ。日本人や中国人が多く訪れており、そのほかにも世界50カ国余りから博物館を訪れた。ハン理事長は「日本軍『慰安婦』問題は韓日だけの問題ではなく、普遍的な人権の問題であるため、多くの人々に共感を呼んでいる。おばあさんたちの話だけでなく、ハルモ二たちがその後この運動を続け、再び『ナビ基金』などを通じて連帯する姿に、非常に大きな感動を受けていた」と伝えた。

 ハン理事長は、「記録を体系的に整理し、保存し、管理し、アーカイブ化して共有できるようにし、文化コンテンツとして絶えず蘇らせることで、人々が『慰安婦』問題に共感できるようになる」とし、「これを支援し、基盤を整えるのは国の役割だ」と強調した。

2026/08/10 23:10
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/56887.html

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