前韓国銀行総裁「半導体10年好況は断言できない…半導体錯視警戒しなければ」(1)

投稿者: | 2026年8月12日

わずか1年前だけでも韓国は「日本病」を心配していた。低成長・低物価に少子高齢化まで重なり長期低迷のトンネルに入るのではないかという懸念が大きかった。ところが人工知能(AI)投資ブームに乗って半導体輸出が爆発し雰囲気が変わった。企業の実績と税収が大きく膨らみ、韓国政府は来年過去最大となる800兆ウォン台の予算編成を推進している。「低成長が固定化するのではないか」という心配は、「半導体スーパーサイクルが10年以上続くかもしれない」という期待に変わっていった。

だが李昌鏞(イ・チャンヨン)前韓国銀行総裁はこの好況の光が韓国経済の陰まで消してくれるものではないと考える。韓国銀行総裁在任中4年間に金利と為替相場を超え、少子化、労働、教育、不動産まで、構造改革を絶えず注文してきた彼は、中央日報とのインタビューで「長期低成長トレンドを最近の半導体好況持続だけで逆転させられるとは思わない」と話した。

 半導体が成長率を引き上げる強力なエンジンであることは明らかだが、韓国経済全体の体質まで変える万能のキーではないという診断だ。代表的な装置産業であるだけに、直接的な雇用創出効果が小さく、AIの生産性が経済全般に広がるまでは青年失業など雇用問題がむしろより悪化する可能性もあるとみた。

好況の寿命に対しても疑問符を投げかけた。中国の追撃がない状態で半導体のスーパーサイクルが10年にわたり続くならば、「国家的にこの上ない祝福」だが、そうでない場合には「増えた税収が一時的なものかもしれないと認知して国家を経営しなければならない時」と話した。現在の好況が構造的な問題を隠す「錯視」になってはならないという話だ。

好況の果実もやはり韓国経済の構造的問題を解決し他の産業の成長基盤を広げるのに活用する必要があると指摘した。4月に退任した李前総裁が退任後に報道機関のインタビューに応じたのは初めてだ。

――半導体好況はどれくらい続くものと考えるか。

「多くの専門家がAIの集中投資に力づけられ半導体のスーパーサイクルが数年または10年近く続くだろうと予想する。だがいまこうした見通しをする人のほとんどが、わずか1年前にはサムスン電子が広帯域メモリー(HBM)への対応に遅れ韓国経済が厳しくなるだろうと懸念していた。だれであれ未来を予想するのは容易でない」

――楽観的にだけで見てはならないという話か。

「企業や投資家ならば不確実性にもAIと半導体の未来を肯定的に見て投資できる。しかし国はあらゆるケースに備えなければならない。米中対立で中国が極端紫外線露光装置を輸入できなくなり追撃が遅滞したのも韓国の半導体企業の寡占的地位を強化した要因だ。米中関係が回復するか中国が独自の技術を確保すれば収益性が大きく落ちるかもしれない。スーパーサイクルが続けばこの上ない祝福だが、そうでない場合は増えた税収が一時的なものかもしれないという点も認知しなければならない」

――増えた財源はどこに使うべきなのか。

「半導体の競争力を維持するのに必要な支援も重要だ。ただ半導体好況で生じた余力を再び半導体にだけ使うよりは、青年失業や少子化、他の産業の競争力を高めるのにも活用する必要がある。半導体がうまくいくからと半導体支援がそのままAI産業支援だと考えてはならない」

――最近の成長で「日本病」の懸念から抜け出したとみられるか。

「長期低成長トレンドを半導体の好況だけで逆転させるのは難しい。半導体は代表的な装置産業のため直接的な雇用創出効果が小さい。AIの生産性が経済全体に波及するまで青年失業などの雇用問題が悪化する恐れもできる」

韓国経済の半導体依存度はすでに高い。先月の輸出の41.5%が半導体だった。韓国銀行も最近の報告書で、半導体好況が人材と投資を吸い込んで他の産業の競争力を低下させる「オランダ病」の可能性を警戒した。資源輸出の好況で通貨価値が上がり製造業など他の産業の競争力が落ち込んだオランダ経済の状況に例えて作られた用語だ。

――韓国も「オランダ病」に陥るだろうか。

「当面は為替相場ルートで他の産業の競争力が弱まる状況を懸念する段階ではない。より重要なのは、フィンランドのノキア、台湾のTSMCのように、少数の企業と特定の産業に国家経済の命運が過度に依存する問題をどのように管理するかだ」

2026/08/12 11:26
https://japanese.joins.com/JArticle/353428

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