円の投機家から守り手へと転身した米財務長官 【コラム】

投稿者: | 2026年8月14日

 先月31日、トランプ米大統領が主宰するホワイトハウスの閣僚会議を捉えた1枚の写真が、外国為替市場で大きく揺るがした。ベッセント財務長官の前に置かれたメモに「やるべきこと:50億〜100億ドル相当の日本円買い」と書かれていたためだ。百戦錬磨のホワイトハウス写真記者たちがこれを見逃すはずがない。このメモは、米財務省が外国為替市場に介入して円を買い入れることを、あえて示したものであり、その後、実際に米日による協調介入が行われた。日本の「国家債務危機」の兆しを嗅ぎつけた為替投機勢力に対し、円を売らないよう求める公開警告と取れる動きだった。

 ベッセント長官は1992年、ソロス・ファンド・マネジメントの一員として英ポンド売りに参画し、英国の中央銀行であるイングランド銀行を「屈服」させており、2010年代初頭には円安に賭けて10億ドル以上を稼いだ人物だ。その後、独立して主に地政学的状況や経済データを分析し、投資機会を探すマクロ投資でウォール街で名を馳せた。そのような人物が今や米財務省を指揮し、円安の食い止めに乗り出したのだから、皮肉な光景と言わざるを得ない。

 円をめぐる米日の協調介入は、1998年以来、ほぼ30年ぶりとなるほど異例な出来事だ。為替市場の動向に対するベッセント長官の自信を反映したものでもあるが、今回の介入は、現在、米日政府が直面している状況が極めて危ういことが大きな要因だ。米国も日本も、天文学的な国家債務に苦しんでいる。ベッセント長官は円安に歯止めをかけるのが目的だと述べたが、市場では、結局のところ、米国債の利回りの上昇を防ぐのが狙いだとみている。現在、米国債の利回りは10年物が4.6%台、30年物が5.2%台で、非常に高い水準にある。特に30年物の利回りは19年ぶりの高水準だ。米国としては、米国債を約1兆ドル分も保有する日本銀行が、円安に歯止めをかけるため、ドル調達に向けて米国債を売却すれば、金利がさらに急騰する可能性があるという懸念を抱かざるを得ない。日本銀行のこうした動きは、為替投機の引き金となりかねない。財政を借金に依存している米国政府としては、国債の利払い負担がさらに大きくなることをこれ以上放置できない状況だ。

 ベッセント長官は果たして、円安を抑えるという所期の成果を上げることができるのだろうか。先月末、40年ぶりの安値である1ドル=164円まで値下がりした円相場は、今回の介入後、155円まで回復したものの、すぐに159円台へと再び滑り落ちている。為替投機に造詣の深いベッセント長官も、財政健全性の回復に向けた努力を怠ったまま、為替介入だけではその効果は一時的なものに過ぎないことを承知しているのではないだろうか。

韓国語原入力: 2026-08-12 19:37

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https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/56920.html

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