韓国プロ野球は一昨年から世界で初めて自動投球判定システム(ABS)を導入し、良い評価を受けている。ボール追跡技術が直接ストライクとボールの判定を下す、一種のAI技術だ。審判はABSの結果をイヤホンで聞いて判定を下す。テレビ画面にボールの位置が映し出され、すぐに検証可能だ。システム導入以降、もはや判定を巡るトラブルは起きていない。
これと似たシステムを教育に、それも大学入試に導入できるだろうか。そのような議論が実際に進んでいる。韓国の国家教育委員会は、修能(大学入学共通テストに相当)に記述式と論述式を導入する案を推進している。記述・論述式を導入した際の最大の問題は、55万人の受験生に対する採点を早急に終わらせることだ。受験生が1300万人近い中国の大学入試「高考(ガオカオ)」には作文試験があるが、高校教師などが採点するのに10日ほどかかる。教育部(省に相当)と国家教育委員会は、AIで記述・論述式を採点するという構想を打ち出した。
まず全国の中学・高校の内申評価にAI採点を導入してデータを蓄積し、これを基に修能で活用するというものだ。現在、ソウル市教育庁の「チェウムAI」、京畿道教育庁の「ハイラーニング」など、AI評価システムが試験運用中だ。AIが下採点を行い、教師が最終確定させるというやり方だ。大学入試の討論会でAI専門家は「教育庁の実験の結果、AI採点の方が人間よりもはるかに公正だ」と主張した。
しかし大学入試は、野球のボール判定はもちろん中学・高校の内申とも比較にならないほど厳正でなければならない領域だ。たった1点の採点ミスや公正性への疑義も許されない。トラブルが生じた際、誰もが納得できる答えを出せなければならない。だが現在、各教育庁の採点AIは通常の生成型AIのレベルであり、まだテスト段階だという。そのため現在、大学入試の採点をAIで行っている国はない。日本は記述・論述式の導入を検討したが、2019年に見送りの決定を下した。採点の信頼性確保が事実上不可能だという理由だった。バージニア工科大学など一部の米国の大学がエッセイ評価にAIを活用し始めるや、学生や保護者が反発している―というニュースが出ている程度だ。
AI採点の問題の一つは、奇抜な発想で書かれた文章に対する評価が極端に分かれる点だという。創意性を高めるための大学入試改編に逆行する結果をもたらす可能性もあるだろう。AIが飛躍的に発展しているため、遠からず大学入試の記述・論述式の採点に問題がないほど発展する時期が来るかもしれない。それよりも大きな懸念は、AI採点に備えるための私教育(塾や予備校など)の狂風が吹き荒れるのではないか、という点だ。早急に決定すべき問題ではないように思う。
2026/08/20 06:00
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