コップの半分に唾を吐く日本…繰り返される対日自爆外交の悲劇【寄稿】

投稿者: | 2024年6月17日

 ドイツの大学での韓国政治史の授業では、教授も大学生も心を躍らされる。韓国の圧縮的な近代化による非同時性の同時実行から始まった対立と緊張が、韓国史の講義室を揺さぶるからだ。特に韓日関係についての内容になればなおさらだ。まず学生たちは、日本が朝鮮を完全に「併合」する直前の1907年、高宗皇帝がこれを阻止するためにハーグ万国平和会議に特使を派遣したという事実に感銘を受ける。しかしその後、朝鮮の正当な要請にもかかわらず、当時の弱肉強食の時代精神のもとでの日帝の巧妙な外交戦術によって、国際社会が朝鮮の要請を冷遇したため、朝鮮が侵略者である日本の刃のもとにそのまま渡されたという事実に、学生たちは衝撃を受ける。

 1945年に朝鮮が解放された20年後の1965年、韓日基本条約締結によって両国の外交関係が公式に正常化したが、実際には、韓国はある程度の補償金を得るかわりに、日本は植民地と戦争の犯罪について一種の免罪符を得たかたちになった。これは、基本条約締結の4年前の1961年、朴正煕(パク・チョンヒ)をはじめとする軍人たちが民主的に選出された政府を「強圧によって転覆」し、軍事独裁政権を樹立したからこそ可能だった。その後の功績は別にして、日帝期に日本軍に入隊した経歴まである「内乱の首魁」が1961年にクーデターを起こしたことは、当時の刑法(第87条)にしたがえば、死刑または無期懲役になるのに十分だったが、逆に権力を掌握して市民の熱情的な抵抗を踏みにじったまま、ふたたび韓国に不利な日本との国交樹立を押し切った。特にこの条約が、今に至るまで真正性ある反省を拒否する日本政府の歴史歪曲を正当化する法的根拠として活用されているため、学生たちはさらにあきれてしまう。その時からちょうど50年が経過した2015年、初の女性大統領として当選したよりによってその独裁者の娘が、日本政府と「慰安婦」被害者への補償とすべての請求権の解消に関する合意を結んだが、当時は予想される市民の激しい抵抗を最初から避けるため、最初から日本との交渉を秘密裏に進めて結果だけ発表する、すなわち、一段階さらに巧妙な手法を用いた。

 このように、日本の敗戦後に2回も韓日間の歴史問題を解決するどころか、むしろさらに難しくさせた権力者の間違いにもかかわらず、現政権も同様にこうした自爆外交を継承しているようだ。韓国政府は2023年、日帝による強制徴用に関するいわゆる第三者弁済を日本と合意したが、これは、日本の戦犯企業ではなく韓国企業が資金を出す基金を通じて被害者に補償金を支払う、大胆な外交政策だ。これについて「韓国が日本の戦争犯罪に対する補償を自ら行う」という海外メディアの新聞のヘッドラインをみた学生たちは当惑を隠せない。

 この点から、学生たちとともに「半分以上満たしたコップ」という現政権の対日外交戦略について調べてみる。すなわち、韓国政府が先に好意を施して日本がコップの残りの半分を満たすよう誘導する外交戦術だ。このような韓国の対日外交戦略に対して、日本側は結局は修正主義の教科書の発行を続け、歴史を歪曲したままユネスコの世界文化遺産を維持したり登録を申請し、靖国神社の戦犯を公式に追悼し、独島(トクト)に対する領有権の主張を繰り返すなど、韓国側を配慮したり譲歩する最小限の兆候さえみせていない。すなわち、日本は残りの半分の水を満たすどころか、数滴の水を除いては、ガラスコップに唾を吐き続けているだけだと評されている。驚くべきことに韓国の現政権は、福島原発汚染水問題やLINEヤフーのネイバーの持株売却をめぐる日本政府の不当な圧力、政府の出版物である『日本概況』で日本の歴史歪曲に言及する事例についての記録の削除など、日本の悪行を見逃し正当化までしている。

 韓国政治史の勉強は興味深いが、韓国政府の繰り返される対日自爆外交は、なんとしても克服しなければならない悲劇だ。

2024/06/16 23:28
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/50337.html

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