米国が戦場で費やした金額よりも、米国民が財布から燃料代として支払った金額の方が大きかった。原油高により、米国の消費者がガソリンと軽油に追加で支出した金額は1000億ドルを超えた。米軍がイラン戦争のために直接支出した軍事費の2倍を上回った。
これは、ブラウン大学ワトソン国際・公共問題大学院が8日(現地時間)に発表した研究報告書「イラン戦争による米国のエネルギー費用(The US Energy Costs of the Iran War)」で示された内容だ。イラン戦争の勃発から約6カ月間で、ガソリンと軽油の価格上昇によって米国の消費者が追加で負担した金額は1000億ドル(約15兆4500億円)を超えた。1世帯当たり760ドル以上に相当し、総額は今も2分ごとに約100万ドルずつ膨らんでいる。ブラウン大学の推計では、累計額は10日時点で1023億ドルに達する。
これは、米政府が直接支出したイラン戦争の費用を大幅に上回る。米戦略国際問題研究所(CSIS)は、部隊展開や弾薬、作戦遂行、装備の損失などを考慮し、6月までに発生した追加の戦費を340億~420億ドルと見積もった。ピート・ヘグセス国防長官も7月に議会で、その時点までに発生した費用と、9月末までに見込まれる費用の一部を合わせた戦費が375億ドルだと明らかにした。イラン戦争による燃料価格の上昇で米国の消費者が追加で支出した金額は、CSISが算定した直接的な戦費の2.4~2.9倍に達した。
負担は燃料代にとどまらない。原油高の影響が輸送費や航空運賃など、暮らしに関わる物価全般に広がっているためだ。ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ首席エコノミストは6月、燃料価格の上昇分300ドルに加え、配送料200ドル、航空運賃100ドル、金利上昇に伴う費用150ドル、軍事費の1世帯当たりの負担分250ドルなどを合計し、イラン戦争に伴う米国の1世帯当たりの負担額を計1000ドルと算出した。
世界全体に目を向けると、経済的な負担は天文学的な規模に膨らむ。エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)は、戦争勃発後の3~8月の6カ月間に、各国が原油や石油製品、液化天然ガス(LNG)を海上輸送で輸入するために追加で支払った金額を3300億ドルと推計した。新興国は、米国よりもはるかに深刻な原油高の打撃を受けている。戦争勃発後、ナイジェリアでは軽油価格が90%以上、ガソリン価格が58%近く急騰した。インドネシアとレバノンの軽油価格も、それぞれ87%、80%上昇した。
戦争勃発後は国債利回りも上昇し、主要国政府の利払い負担も膨らんでいる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は先月30日、戦争勃発後の金利上昇によって米政府に生じた国債発行に伴う追加の資金調達費用を、8月末時点で106億ドルと推計した。国債を発行して資金を調達する際に支払う利息が、それだけ増えたことを意味する。英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本を含む主要7カ国(G7)全体の追加負担額は160億ドルに達する。高金利が続けば、G7の国債発行に伴う追加の資金調達費用は、来年1-3月期までに340億ドルに膨らむ見通しだ。このうち、米国の負担だけで217億ドルに達すると分析された。
国際通貨基金(IMF)はすでに7月、「戦争初期には代替供給網や戦略石油備蓄、需要の減少が緩衝材の役割を果たしたが、今ではその効果が目に見えて弱まっている」と警告していた。これまで供給ショックを吸収してきた石油備蓄の放出や湾岸地域以外での増産の効果が薄れる中、原油価格がさらに上昇すれば、世界経済が受ける打撃は以前よりもはるかに大きくなりかねないという警告だ。
2026/09/11 07:47
https://japanese.joins.com/JArticle/354906