就職難に苦しむ韓国の若者の絶望…「大企業と中小企業の二重構造」の改革が解決策

投稿者: | 2026年9月11日

 夏休みを迎え、韓国へ行ってきた。久しぶりに友人や先輩、後輩たちに会い、韓国と日本の経済や政治問題についても話し合った。皆が口をそろえて言ったのは、韓国の経済成長率がはるかに高いため、当分の間日本との格差がさらに広がるだろうという点だった。だが、それと共にいつも出てくるのは「それでも日本の若者は就職が順調で、韓国より状況は良いのではないか」という質問だった。ある友人は、子ども大学4年生だが就職で悩んでいるとため息をついた。

■就職難に苦しむ韓国の若者たち

 「インソウル(ソウル所在という意味)」の名門大学を卒業しても就職が難しい現実は、親である私たちの世代とはあまりにも異なる。最近は以前のような大企業の新卒採用がなくなり、企業は挙って経験者を探し求めているが、そもそも経験というものは仕事につかないと得られないものではないか。若者たちが仕事を探す過程で絶望に陥っても無理はない。最近ではインターンシップですら実務経験を求められており、インターンのポジションを探す際にも親の紹介といったコネが重要だという話まで耳にした。

 統計を見ると、2024年時点で韓国の高等教育機関の卒業生は63万4904人、就業者数は37万7120人。進学者や就職不可能な者、外国人留学生などを除いた就職対象者を分母として計算した大学卒業生の就職率は69.5%、そのうち4年制大学の卒業生の就職率は62.8%だ。全体の就職率はそれでも数年前と比べてわずかに上昇したものの、数字の誇張も多少はあるだろうし、大学卒業生10人のうち平均7人が就職に成功しているとは言い難い。「大学アリミ」の資料に基づき、卒業生全体を分母として計算すると、2025年の193の4年制大学の卒業生31万4622人のうち、就職者は16万9214人で、就職率は53.8%だった。これは2023年(58.1%)、2024年(55.7%)よりも低い数値だ。

 メディアの報道でも、若者の就職難に関するニュースが溢れている。2026年第2四半期の20代と30代の大卒者の失業者数は30万9000人で、前年と比較して20代が7000人、30代が2万7000人、それぞれ増加した。特に、就職したことのない20代の失業者数は前年より1万1000人増え、4万8000人だった。雇用動向によると、2026年7月時点で15〜29歳の若者の雇用率は44.2%で、27カ月連続して低下しており、若年の失業率は6.8%で昨年より上昇した。若年のうち「(仕事に就かず)休んでいる」人は36万7000人で、その割合は4.7%だった。とはいえ、若年の失業率は2017年の9.8%よりは低下しており、「休んでいる」割合も昨年よりは減少している。

 何よりも、若者が好む大企業や公共部門の良質な雇用は需要に比べて供給が少なく、競争が極めて激しい。2025年の高等教育機関の卒業生数は63万人だが、同年の新規採用数を発表した113社の大企業の新規採用人数は約9万2700人だった。そのうち30歳以下の新規採用の割合は半分に過ぎなかった。また、大統領府の発表によると、2025年に主要10グループが新規採用する予定の人数は約4万9000人で、2026年には5万1600人だ。ところが、そのうち経験者採用が約3分の1を占めており、新卒採用計画は3万4200人。また、2025年には国家公務員が2万8825人、地方公務員が1万7665人、公共機関が2万7000人をそれぞれ新規採用した。大学卒業者の数に比べて、大企業や公共部門の新規採用数が大幅に不足しているのだ。

 結局、若者の雇用問題は雇用そのものではなく、彼らが望む良い雇用が不足しているからだ。韓国全体の雇用の約80%を占める中小企業も新規採用を多く行っているはずだが、若者たちは劣悪な労働環境と低い賃金のため、現実と妥協して中小企業に応募するのは容易ではないだろう。賃金だけを見ても、大企業と中小企業の格差があまりにも大きく、中小企業に最初に就職すると、後に大企業に移るのが非常に難しいのが現実だ。雇用形態別労働実態調査によると、2025年の従業員300人未満の中小企業の賃金は、大企業に比べて約57%の水準だった。良い仕事が見つかるまで卒業や就職を先延ばしにする大学生が多いのも理解できる。

■日本は果たして就職の楽園なのだろうか

 では、日本ではどうだろうか。2026年の日本厚生労働省によると、大卒者の就職率は98%に達する。ところが、この数値は就職希望者を基準としている点に留意する必要がある。大卒者全体のうち、進学や家事などを除いた就職希望率は75.6%だった。したがって大卒者全体に占める実際の就職率は約74%だ。それでも、韓国の4年制大卒者に比べると約20%高い。興味深いのは、文系と理系を問わず、専攻を問わず、就職希望者の就職率が約98%だったという点だ。もちろん、この結果は少数のサンプル調査に基づいているという限界もあるが、大学の内部資料を見ても就職率が非常に高いのは事実だ。実際、日本の大学生は3年生の初めから就職活動を開始し、卒業前の4年生の初めになると多くがすでに内定を獲得している。

 日本でこのように大卒者の就職率が高い理由は、企業が人手不足に直面しているためだ。日本では出生率の低下と高齢化が韓国より約20年早く進行しており、大学生の数が減り続けているため、求職者にとって売り手市場になっている。複数の企業に合格してその中から選んで入社する大学生も多く、最近では企業が新入社員を引き留めるために採用が決まった大学生の親に子どもの入社を確認することもあり、これを「オヤカク(親確)」と呼ぶ。子どもの就職を心配する韓国の親にとっては驚くべきことだろう。

 高い就職率には、人口動態の変化に加え、「アベノミクス」以降、日本の景気が多少なりとも回復したという現実も関係している。日本も「就職氷河期」と呼ばれた1990年代から2000年代初頭にかけて、大卒者の就職率がかなり低く、この世代は就職後も所得が相対的に低いと報告されている。結局、若年人口は大幅に減少した一方で景気がわずかに回復したため、大卒者の就職が容易になったのだ。現在、日本では求職者1人当たりの求人数を意味する有効求人倍率は1.18倍、新規求人倍率は2.16倍に達している一方、韓国の求人倍率は2026年8月時点で0.46倍であり、日本よりも大幅に低い。

 日本も韓国と同様に中小企業の雇用数がはるかに多いが、大きな違いは、大卒者が中小企業に躊躇なく就職する点だ。これは何よりも、大企業と中小企業の賃金格差が小さいからだろう。もちろん、大企業は退職後の年金やその他の福利厚生面で中小企業より条件が良いが、少なくとも賃金の差は韓国に比べて大きくない。そのため、大学生の間では、あえて物価の高い東京の大企業ではなく、故郷に近い中小企業に就職する風潮がある。どの企業でもそう簡単には途中で辞めることなく、多くの人が65歳以上まで安定して働けるという点も、韓国の労働市場との大きな違いだ。

 下の図は、2025年の日本の大企業(1000人以上)と比較した中企業(100〜999人)と小企業(10〜99人)の賃金格差を性別ごとに示している。賃金が最も高い50代後半でも大企業に比べ中企業の賃金は81%、小企業は72%程度だ。20〜30代においては格差がさらに小さい。もちろん、この調査は従業員10人以上の企業のみを対象としている点で、従業員規模をさらに狭めて調査を行う韓国とは違いがあることに留意する必要がある。それでも日本の賃金格差がこれほど小さいのは、韓国よりも堅実な中小企業が多く、大・中・小企業の関係もやや協力的であるという違いを反映しているものとみられる。

 一方で、日本企業、特に大企業の年収が韓国よりも相対的に低いという現実とも関連している。トヨタやソニーのように日本を代表する大企業の新入社員の年収は、基本給ベースで約400万円(韓国ウォン換算で約3486万ウォン)。就職が比較的容易であることが原因なのかは定かではないが、最近、日本の大学の学部課程に留学にくる韓国人学生が大幅に増えている。だが、彼らが日本企業に入社すると、年収の低さに失望するかもしれない。このように社会全体として賃金が低いことは、日本経済の深刻な問題と言える。日本はバブル崩壊以降、30年にわたる長期不況の期間中、実質賃金が停滞し続け、アベノミクス以降、大企業の利益は大幅に増加したものの、賃金は上昇しなかった。それでもインフレが戻ってきた後のここ3年間は、春闘における名目賃金上昇率が大幅に高まり、今年に入ってからは実質賃金も上昇している。

■労働市場の二重構造を改善すべき

 現在、韓国でも若年層の人口が急速に減少しているため、時間が経つにつれ若者の雇用問題も改善されるかもしれない。だが、最近の人工知能(AI)技術の急速な発展は、若年の新規採用にさらなる打撃を与えている。さまざまな研究によると、AIとかかわりの高い業種では、2022年末のChatGPTが公開されて以来、若年層労働者の雇用が大幅に減少した一方、50代の熟練労働者の雇用はむしろ増加したという。資料収集や文書作成など、新入社員が担当する基礎業務はAIに容易に取って代わられるからだ。これは韓国でも同様である。AIの発展により企業が新入社員をあまり採用しなくなったため、若者はAIとも競争しなければならない立場に追い込まれたのだ。

 政府も深刻な若者の雇用問題に対応するため、8月28日に「若者雇用回復策」を発表した。AIや半導体などの先端産業や若者が好む分野で30万人以上の専門人材を育成し、若者と企業をつなぐマッチングプラットフォームを新設する方針だ。また、若者の就職支援や求職促進手当を拡充し、就職後のキャリア形成や資産形成を支援するとともに、若者を雇用する企業への支援も拡大した。2027年度予算案においても、若者の雇用関連予算は3兆3000億ウォン(約3700億円)となり、2026年度の2兆6000億ウォンに比べて増加した。

 こうした政策は意義が大きいものの、どれほど効果を発揮するかは見守る必要がある。これと共に、他の先進国に比べて相対的に少ない公共部門の雇用を政府が創り出したり、雇用創出に焦点を当てた産業政策を実施したりすることも若者にとって助けとなるだろう。さらに、フランスのように業種別の職業訓練基金を設立し、大企業が新規雇用ではなく経験者のみを採用する場合に負担金を課す案も考えられる。

 しかし、日本との比較からも分かるように、若者の雇用問題を解決するには大企業と中小企業の格差を縮めるための取り組みも必要だ。企業規模別の賃金格差は生産性の格差にかなり起因するとみられており、政府は中小企業の生産性向上と経営改善支援に力を注がなければならない。また、元請けの大企業と下請けの中小企業間の不公正取引を規制し、納品代金連動制を強化するとともに、共生協力基金の制度化も推進すべきだろう。何よりも、下請けの中小企業労働者の交渉力を強化する取り組みが必要だ。例えば、産業別交渉を通じて業種別の賃金の下限を設定したり、元請けの大企業と協力会社の交渉を促進したりすることが望ましい。

 韓国経済は今年に入り、成長率が3%を超える好況期に入ったが、就職難に悩む若者たちの苦境は依然として続いているようだ。彼らの絶望が深まれば、世代間の格差や社会的対立も拡大するだろう。これを乗り越えるためにも、労働市場の二重構造の打破に向けた取り組みが求められている。

2026/09/10 11:48
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/57147.html

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