ロシアのプーチン大統領の24年ぶりの北朝鮮訪問をめぐり国際社会の最大の関心事は朝ロ間の軍事協力だ。北朝鮮がロシアに砲弾や弾薬など在来式武器提供を強化する代わりにロシアが北朝鮮に大陸間弾道ミサイル(ICBM)、原子力潜水艦、人工衛星など先端軍事技術を支援するのかどうかだ。これは北東アジアだけでなく、世界の安保秩序にも相当な波紋を呼び起こす事案であるためだ。ひとまずプーチン大統領の18日の労働新聞への寄稿でこれに対する具体的な言及はしなかった。ロシア大統領府のウシャコフ補佐官の17日の説明の通りこの問題は19日に予定された両首脳の1対1の非公式会談で話し合われると予想される。
ただ現在まで今回の会談に臨む両首脳の傍点はそれぞれ違ったところに付けられているとみられる。戦争3年目を迎えるプーチン大統領の当面の課題は北朝鮮の在来式武器支援強化を引き出すことだ。ウクライナ国防省は18日、英国・ウクライナ国防省合同カンファレンスで、北朝鮮は122ミリメートル放射砲弾と152ミリメートル自走砲弾180万発をロシアに支援したと明らかにした。これはロシアが使った全砲弾のうちイランの支援を受けた極めて一部を除けば北朝鮮がほぼ40%を占める規模だ。
ウクライナ戦争を通じて思いがけない対ロシア「レバレッジ」を確保することになった北朝鮮はその見返りとして先端軍事技術協力と事実上の核保有国の地位承認に関心を持っている。実際に北朝鮮は韓日中首脳会議が開かれた先月28日に軍事偵察衛星の打ち上げを試みて失敗したが、当時使った新型ロケット1段推進体をロシアから受けた可能性が大きい。また、金委員長がこれまで偵察衛星と原子力潜水艦の確保に強い意欲を見せていた点から、これもまた北朝鮮の「ウィッシュリスト」に含まれているものとみられる。ただ、米国や韓国など国際社会が先端軍事技術提供を「レッドライン」として強力に警告している点と、ロシアが伝統的に先端技術移転に否定的な点からこうした危険な取引に手を出すかは未知数だ。これと関連し米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は17日、「プーチン大統領の北朝鮮訪問に対して朝ロ関係深化を懸念する。北朝鮮が今後ロシアから受ける支援に対して非常に緊密に注視するだろう」と警告した。
事実上の核保有国承認もやはり北朝鮮のウィッシュリストに含まれている。労働新聞はこの日の社説で、「(ロシアは)米国と追従勢力の発狂的な戦争挑発策動に恐るべき核抑止力で対抗する人民の闘争に確かな支持を示している」と主張した。プーチン大統領は寄稿で「ロシアは、昨日も明日も侵略的な敵との対決において、朝鮮人民を支持する」とだけしたが、北朝鮮はこれに加えてロシアが「核抑止力」を支持すると強調した。
プーチン大統領は3月のリアノーボスチ通信とのインタビューで「北朝鮮は独自の核の傘を持っている」と言及し核保有国の地位を認めるような態度を見せた。韓国国民大学のアンドレイ・ランコフ教授は「北朝鮮の核開発を容認すれば周辺国のドミノ核開発につながりかねず、これはロシアも望まない結果。現在までは希望事項に近い」と話した。
プーチン大統領としては「経済協力強化」のカードで北朝鮮をなだめようとする可能性がある。極東研究センターのキリル・コトコフ所長は17日、ロシアのツァルグラードとのインタビューで「プーチン大統領は経済関係強化を模索するだろう。食料輸出と対北朝鮮制裁で禁止された北朝鮮の労働力利用に関心があるだろう」と話した。
2024/06/19 07:28
https://japanese.joins.com/JArticle/320056