今年のノーベル物理学賞は「宇宙から来た幽霊粒子」と呼ばれるニュートリノを発見した米ウィスコンシン大学マディソン校のフランシス・ハルツェン教授に贈られた。ノーベル物理学賞を単独で受賞したのは1992年から34年ぶりだ。
スウェーデン王立科学院ノーベル委員会は6日、ハルツェン教授をノーベル物理学賞受賞者に選定したと発表した。ハルツェン教授は2023年に南極のニュートリノ研究施設アイスキューブでニュートリノを銀河系で初めてとらえた。ニュートリノはとても小さな質量を持っている宇宙粒子だ。他の粒子と違い一般的物質とほとんど反応しないため、方向を変えたりエネルギーを失ったりせずに極めて遠い宇宙から地球に到達する。そのためこれまで知られていなかった宇宙現象を究明するカギとも呼ばれる。われわれの周辺にも存在するが見えないという意味で「幽霊粒子」というニックネームがついた。
ノーベル委員会は「アイスキューブニュートリノ観測所に対する決定的な貢献と天体物理学的起源の高エネルギーニュートリノを発見した功労」を受賞理由として明らかにした。ノーベル物理学賞委員会のマーク・ピアス委員長は「ハルツェン教授は世界の研究者とエンジニアで構成された国際研究チームを率いてわれわれに驚くべき観測装置を提供した。彼の根気と科学的ビジョンは新たな形態の天文学を開拓する道を開いた」と説明した。受賞発表後の電話インタビューでハルツェン教授は「本当に驚いた。全く予想していなかった。(研究)提案書を作成中だが今回の受賞で承認につながるよう望む」と所感を明らかにした。
ハルツェン教授は高エネルギーニュートリノ観測に向けたアイデアを初めて考案した人物と評価される。すでに理論物理学者として名声が高かった2010年に米国立科学財団の支援を受け南極にアイスキューブ天文台を建設した。韓国の成均館(ソンギュングァン)大学と中央大学をはじめ、14カ国58の研究機関から350人の研究者が参加した大規模プロジェクトだ。研究チームは南極の地下の体積1立方キロメートルの氷に光センサー5160個を埋め込み、ニュートリノが水素や酸素の原子核や電子とぶつかる痕跡を探した。これを通じて2017年に地球から37億光年離れたブラックホールを抱える銀河の核「ブレーザー」から出たニュートリノをとらえ、ブラックホールの起源に対する端緒を見つけた。続けて2023年に銀河系から出たニュートリノが氷と反応して出る光を発見した。
ソウル大学物理天文学部のヤン・ウンギ教授は「ハルツェン教授は学界の重鎮だった当時にも主要大学を尋ね歩いてニュートリノ観測実験を提案するほど情熱がすごかった」と話した。ノーベル物理学賞審査委員であるスウェーデン・チャルマース工科大学のエバ・オルソン教授は「このメッセンジャー(ニュートリノ)は宇宙から情報を持ってくる。これらは遠く離れた銀河系へと進む扉を開けてくれ、星が爆発する過程について教えてくれる」と話した。
ニュートリノはノーベル物理学賞と縁が深い。原発から出たニュートリノを初めて発見した米国の物理学者フレデリック・ライネス氏は1995年にノーベル物理学賞を受賞した。粒子加速器から出たニュートリノを観測した功労で米国の科学者3人も1988年にノーベル賞を受賞した。21世紀には日本がニュートリノ研究を率いた。2002年に小柴昌俊東京大学名誉教授がニュートリノ観測施設カミオカンデの研究で、2015年には彼の教え子である梶田隆章東京大学宇宙線研究所長がこれをアップグレードしたスーパーカミオカンデの観察でノーベル物理学賞を贈られた。
ハルツェン教授は今回の単独受賞により賞金として1200万スウェーデンクローナ(約1億9000万円)が贈られる。
2026/10/07 11:09
https://japanese.joins.com/JArticle/355991