北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのプーチン大統領が19日に新たに結んだ「包括的戦略的パートナー関係に対する条約」で、「一方的な強制措置」に反対すると明らかにした。米国など主要国の対ロシア・対北朝鮮独自制裁をはばかることなく破るという宣言も同然で、国同士の関係を規定する基本条約で第三国を取り上げたり制裁を守らないと明文化すること自体が正常ではないと指摘される。
新しい条約の第16条は、「双方は、一方的な強制措置の適用に反対し、それらの措置の実行を不法的で国連憲章と国際法的規範に抵触する行為と見なす」とした。
双方は条文全体で1066の単語のうち、この条項だけで168単語、4段落を割いた。それだけ制裁による苦痛が大きいという傍証でもある。
実際にウクライナ侵略後に米国は全世界同盟と友邦を糾合して「連合独自制裁網」を構築してロシアの息の根をつかんでいる。ロシアを最初から国際金融決済網から締め出すなどの金融制裁、工業製品から先端装備まで多様な商品の流入を防ぐ輸出統制措置など全方向に圧力をかけている。
北朝鮮に対する独自制裁網ははるか以前から堅固に組まれている。特に米国は北朝鮮と取引する第三国の個人や団体も制裁するセカンダリーボイコットも発動している。米国の対北朝鮮独自制裁を守るほかない国が大部分という意味だ。このほか韓国、日本、オーストラリア、欧州連合(EU)など類似の立場の国は互いに補完が可能な対北朝鮮独自制裁措置をそれぞれ取りながら制裁の効果を倍加している。
これは金委員長とプーチン大統領が独自制裁に反対する条項をあえて新しい基本条約に盛り込んだ理由でもある。この条項は「一方から他方へ向かう商品と双方の納入者が提供する作業、サービス、情報、知的活動の結果物、そしてそれに対する独占権を侵害する一方的な強制措置を適用しないことを担保する」と規定した。ロシアと北朝鮮の間では多様な独自制裁が規定した輸出入禁止措置などを守らないという宣言だ。「担保する」という表現から見て金委員長としては今後国際情勢が変化しロシアが対北朝鮮制裁を順守する側に立場を旋回するのも防ごうとしたとみられる。
この条項は続けて、「第3国が一方的な強制措置を適用する場合」にどのように協力するかも規定した。こうした措置で生じる恐れがある「直接的、または間接的な影響を取り除いたり、最小限に食い止めるための実践的な努力を傾ける」とし、「第3国がこうした措置を適用して強化するのに利用できる情報の流布を制限するための措置を取る」という。
これは国際社会が制裁に参加することに朝ロが連合して対抗するという趣旨と解釈可能だ。「実践的な努力」は意志を超え行動で履行するという意味と読み取れる。
これと関連して、プーチン大統領は今回の訪朝で「西側の統制を受けない貿易と相互決済体系」(18日労働新聞寄稿)などを強調した。この条項にも軍事安保的側面での密着を超えロシアの戦時経済と北朝鮮の自力更正経済間の接点を広げる貿易ブロック化構想が反映されたとみられる。
2024/06/20 17:57
https://japanese.joins.com/JArticle/320172