◇なぜ『冬のソナタ』が頭によぎるのか
個人的に最も興味深いのは、『早春晴朗』の韓国でのヒットが、どこか『冬のソナタ』の日本での成功を思い起こさせるという点だ。多くの人が覚えているように、2003年に日本のNHK衛星放送で始まった『冬のソナタ』の人気は、瞬く間に日本の視聴者を魅了し、社会現象となった。主演のペ・ヨンジュンはスーパースター「ヨン様」として生まれ変わり、『冬のソナタ』を皮切りに数多くの韓国ドラマが日本で大きな人気を集め、韓流を定着させた。
当時の韓国と日本のドラマの位置づけを考えれば、この成功は非常に驚くべきことだった。1990年代、韓国ドラマがトレンディーなメロドラマを制作し始めたころ、韓国のドラマの制作関係者たちが理想としていたのは日本のドラマだった。織田裕二と鈴木保奈美の『東京ラブストーリー』(1991年)、浅野温子主演の『101回目のプロポーズ』(1991年)、木村拓哉の『ロングバケーション』(1996年)、『ラブジェネレーション』(1997年)といったドラマは、その後の韓国の恋愛ドラマに絶大な影響を与えた。2000年代初めにも、アジアで最も水準の高いドラマを制作していた国は間違いなく日本であり、多くの韓国の制作関係者たちが「日本のドラマのようなドラマ」を作るために日本の作品を研究していた。
したがって、韓国でも日本でも、ドラマ業界の関係者の中に、『冬のソナタ』が成功したのは当時の日本ドラマより洗練された新しいドラマだったからだと考える人はいなかった。むしろ、時代が変わっても色あせない純粋な愛の物語を古典的なスタイルで描いたことが、中年層以上の女性視聴者から爆発的な反響を得たというのが定説だった。言い換えれば、往年のドラマを思わせる作風だったことが人気の最大の要因だったということだ。
放送当時、日本でも『冬のソナタ』については、「記憶喪失によってヒロインを認識できない男性主人公」や「異母兄弟の2人の男性の間に立つ1人の女性」といった要素が、かつてのヒット作『星の金貨』(1995年)を思い起こさせるという意見が多かった。しかも『星の金貨』は、1995年当時ですら「レトロ調のドラマ」と評されていた作品だった。『イルジメ 一枝梅』『ドクター弁護士』などを演出したイ・ヨンソク監督は、日本での研修当時、日本テレビ(NTV)の関係者から次のような本音を聞いたと伝えた。
「制作者や放送局の編成担当者は激しい競争の中で生きているため、常に少しでも新しいものを探し、作ろうとする傾向がある。2003年の時点で、プライムタイム向けに『冬のソナタ』のようなドラマを企画する日本の放送局は、おそらくなかっただろう。しかし、『冬のソナタ』のヒットは、私たちが何を見落としていたのかを示したといえる。明らかに、そうしたコンテンツを求める主流の視聴者層が依然として存在していたのだ」
◇「最近の韓国ドラマにはこういった物語がない」
『早春晴朗』の熱烈なファンだというある主婦も、「周囲の韓国の中年女性たちが『早春晴朗』と井柏然に熱狂する理由は、最近の韓国ドラマがもはやこうした物語を見せてくれなくなったからだ」と主張した。もちろん、まったくないわけではない。韓国ドラマは今も伝統的な強みを生かした「Kロマンチックコメディー」を地道に制作している。
しかし、韓国ドラマ業界の主流の制作者たちが、米国ドラマ風の捜査ものやホラー、SFなどのジャンルドラマを志向しているのも明らかな事実だ。NetflixをはじめとするグローバルOTT(動画配信サービス)がこうした作風の作品を好んでおり、韓国ドラマ業界の最も優れた制作者たちは、もはや甘い「Kロマンチックコメディー」の分野にとどまろうとはしていない。「すでにやり尽くしたジャンル」で新たに自分の強みを発揮するのは容易ではないと考えているからだ。
2026年、『早春晴朗』の成功は多くのことを考えさせる。ある放送局関係者は「ジャンルを問わず、あらゆるドラマの中心的な視聴者層が中年層以上へと移行している状況で、『早春晴朗』の成功が示唆するところは非常に大きい」と語った。「昔、楽しく見ていたあんな感じのドラマ」を求める市場が、韓国だけでなく世界中に存在することが確認された以上、こうした傾向が今後の韓国ドラマにどのような影響を及ぼすのか、そして遠い将来、中国ドラマ業界で『早春晴朗』がどのように記憶されるのか、大いに気になるところだ。
2026/10/12 14:43
https://japanese.joins.com/JArticle/356181