ロシアの韓半島(朝鮮半島)軍事介入の可能性を開いておいた朝ロの新しい軍事援助条約(包括的な戦略的パートナーシップ条約)に対応し、韓国政府が「ウクライナに殺傷武器を支援しないという原則を再考することもある」と暗示すると、ロシアは直ちに反発した。
ロシアメディアのインタファクス通信などによると、プーチン大統領は20日(現地時間)、ベトナム訪問後の記者会見で「韓国がウクライナに殺傷武器を供給することは非常に大きな失敗になるだろう」と述べた。続いて「北朝鮮と結んだ条約は62年(※実際には1961年7月)に結んだ以前の条約と比較して新しいものは何もなく、ほとんど同じ内容」とし「相互軍事支援の要件として侵略状態が明示されていて、韓国は北朝鮮を侵攻する計画はないと把握している」と話した。
これは「双方のうちどちらか一方が武力侵攻を受けて戦争状態になれば国内法などに準じて遅滞なく保有するすべての手段で軍事援助を提供する」と規定した朝ロ条約第4条で「武力侵攻を受けた状態」という条件を強調するものだ。
もちろん「有事自動軍事介入」条項を入れた61年の条約は朝ソ相互防衛条約だったという点で、この日のプーチン大統領の発言は19日の朝ロ条約が冷戦時代の朝ロ軍事同盟を復活させたことを認めたとも見ることができる。
ただ、プーチン大統領が直接釈明をした点については韓ロ関係を管理しようという意志があるものと、政府は受け止めている。「武器支援検討」カードを最大限に活用してロシアの「悪い行動」を防ぐのが目的であるだけに、政府はひとまず状況を見守りながら対応の程度を決めていくという立場という。ロシアに警告メッセージを発信しながら尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が前に出てこないのも状況を管理する空間を残したと解釈される。朝ロを狙った首脳級のメッセージ発信も今後一つのカードになるという理由でだ。
プーチン大統領の即刻反応は、韓国政府が「武器支援方針再検討カード」をちらつかせるだけでも効果が大きいということを傍証する。ウクライナ戦争で勝機をつかむために「隠遁の国」北朝鮮にまで手を差し出すロシアとしては、世界10大防衛産業輸出国である韓国のウクライナ殺傷武器支援はそれだけ敏感な問題になる可能性があるからだ。
大統領室の関係者が20日、支援可能な具体的な武器について「ロシア側が分かるようにしていく」と述べたのも、こうした敏感性を「レバレッジ」として活用するための布石とみられる。「韓国もウクライナへの武器支援が可能であり、リストも組んでいる」という信号を見せるが、実際に実行するかどうかはあいまいな領域に残しておくということだ。
政府が「武器支援カード」を段階的に活用する可能性が高いと考えられるのもこのためだ。ロシアが北朝鮮に核・ミサイル関連の核心技術を移転するなど「レッドライン」を越えると判断されれば、韓国の支援可能武器リスト公開→防御用武器支援→攻撃用武器支援と対応の程度を高めていくことができるからだ。
国内の専門家らは現在の状況で現実的に支援可能な武器にドローン迎撃用ジャマー(周波数撹乱装置)のような撹乱武器、ウクライナ領空防御のための20ミリバルカン砲、30ミリ機関砲など対空砲火や旧型パトリオット(PAC-2)を挙げている。象徴的なレベルでこれら武器をいくつか支援する案が考えられるが、この場合にも「有償支援」か「無償支援」かによって重量感が変わる。
米国とウクライナの政府当局者はその間、韓国に155ミリ砲弾やパトリオットの支援を希望するという意思を何度か伝えてきた。ウクライナのクレバ外相が4月の北大西洋条約機構(NATO)外相会議で「この場を借りて韓国政府にパトリオットを提供する方法を考えてほしいと要請する」と明らかにしたのが代表的な例だ。しかし政府は「非殺傷武器だけを支援する」という原則を守った。このため今までは後方地域で障害物を除去するK-600工兵車だけを支援した。
ある政府筋は「まだ具体的な武器の種類に言及する段階ではないとみる」としながらも「わが軍の対応態勢に影響を与えず、防衛産業の輸出物量まで考慮する場合、最新迎撃ないし打撃武器は次の順位になるだろう」と話した。
朝ロが「黙過できないレベル」の軍事的協力または行動を敢行する場合、韓国政府は攻撃用武器支援も排除しないという立場だ。朝ロは条約4条の軍事支援条項で「すべての手段」を活用できると規定したが、ロシアの意志によっては核武力支援もここに含まれる可能性があるからだ。プーチン大統領は20日の記者会見でロシアの「核ドクトリン(使用教理)」を変える案を検討中と伝えながら「核兵器使用ハードルを下げることに関連した新しい要素が登場している」とし「超低戦力爆発性核装置」を例に挙げた。
この場合▼155ミリ砲弾など戦闘用武器支援▼ロシア本土を脅かす水準の中短距離ミサイルなど戦術武器支援▼ロシア本土まで打撃圏に入る中長距離ミサイルなど戦略武器支援などの段階に細分化できる。
統一研究院のホン・ミン研究委員は「このうち韓国がどれほど寄与するかは米国とNATOの協議はもちろん、議会など国内世論まで考慮して決めなければいけないだろう」と述べた。
ただ、攻撃用武器支援という場合の数は、韓ロ関係が破局に近づく「最悪状況」を迎えてこそ可能という見方が多い。ホン研究委員は「政府がロシアに警告メッセージを出すために武器支援を検討することはできるが、今のところ米国と日本、NATOなどと状況に対する認識の共有に基づいて共同の対応案を組むことがさらに急がれる」と話した。
2024/06/22 09:30
https://japanese.joins.com/JArticle/320218