1998年の日韓共同宣言や日韓新漁業協定締結時に駐韓大使を務めた小倉和夫氏は、日韓大陸棚南部協定の意義について、「日韓両国が共同で開発することを世界に示す戦略的な意味がある」と語り、「中国、北朝鮮に与える政治的な意味を考える必要がある」と語った。
小倉元大使は、当時の日誌をまとめた著書「駐韓国大使日誌1997~2000―日韓パートナーシップ宣言とその時代」を6月下旬に刊行する。全5章のうち、第2章は日韓漁業問題、第3章は日韓共同宣言で、2年余りの大使在任中、この2つのテーマが最大の外交課題だったことがうかがえる。
日韓漁業協定は1998年1月、日本側が破棄し、2カ月後の同年3月、小渕恵三外相が訪韓して同年4月に漁業交渉が再開した。小倉元大使は著書で、「この訪韓は日本が協定交渉打ち切りに踏み切ったため冷却化した日韓関係を立て直すべく、日本側から誘い水をかけたものだった」と明らかにし、「訪韓成功の鍵は両国外相が老練な政治家だったこと」と「陰で努力した人たちがいたこと」と分析した。この訪韓を機に日韓関係は改善に向かい、同年4月の首脳会談で日韓共同宣言の策定に向けた作業の開始で合意した。政治決断と陰の根回しがいかに重要かを示すエピソードだ。
小倉元大使は日韓大陸棚南部協定について「漁業協定の時もそうだったが、日韓がともに何かを行うことは、日韓両国民に対しても第三国に対してもシンボリックな意味がある」と話す。また、「経済的な利益があるなら協定を延長するなどして、日韓両国が共に開発する意味はある。経済的な意味がどこまであるのかが一つのポイントだ」と指摘した。
日韓共同宣言に関しては、「日韓関係が少しずつ成熟した関係になっていくきっかけとなり、非常に意味があった」と評価しつつ、「韓国は、過去を克服してこそ未来を語ることができると考える一方、日本は未来のために進みながら過去を克服しようと考えるため、気持ちにずれがある。国民感情を理解し合うことが必要だ」と日韓両国とも一層の努力が必要だとの考えを示した。
そのうえで、新共同宣言について、「小渕・金大中宣言を越えた高い次元の日韓関係を構築しようとするなら意味がある」と語り、「日韓二国間にとどまらず、少子高齢化や地球環境問題などに共に取り組む『世界の中の日韓関係』を構築するような内容にすべきだ」と提案した。
2024/06/24 09:02
https://japanese.joins.com/JArticle/320253