今年、韓国金融当局の「人口構造」に対する関心は高い。最近では韓国よりも先に2006年超高齢社会(満65歳以上の人口が全体人口の20%を占める)に入った日本を研究している。韓国が急速に老いていって、人口構造の変化が金融市場にも影響を及ぼしかねないという判断のためだ。
最近、金融研究院が金融委員会の「人口変化タスクフォース(TF、作業部会)」会議で発表した資料によると、韓国の中位年齢(全体人口を年齢順に並べた時の中央年齢)は2022年44.9歳から50年後には63.4歳に高まる。低出生と人口高齢化の速度が加速しながらだ。全体人口数も2072年には3622万人で、現在(2022年基準5167万人)から30%消える。
急激な人口構造の変化は株式や銀行・保険など金融市場に衝撃を及ぼしかねない。今年、金融委員会が初めて研究機関・学界などと提携して「未来対応金融」TFを作った理由だ。中長期的に金融政策に影響を与えかねない人口構造をはじめ、気候変動や技術発展を課題として、対応戦略を詳しく見ていこうという考えだ。金融当局関係者は「現在は世界的な変化(メガトレンド)を先制的に調べて、政策方向を定める段階」とし「これを機会要因とするために関連イシューを検討・議論している」と話した。
金融研究院の資料によると、日本は高齢化で不動産や株式市場、そして金融業に地殻変動が現れた。人口減少と高齢化が重なり、都市に人口が集中し、地方をはじめとして住宅空室率が急上昇した。日本学界の一部では1990年代日本の不動産市場崩壊の原因を高齢化から見出している。
高齢人口が多くなれば株式市場も萎縮する。日本の場合、2021年基準で家計の金融資産のうち54.2%が預金だった。続いて年金・保険(26.7%)、株式・債券などの金融商品(16.3%)となっている。高齢層は生涯周期の特性上、投資を回収する時期であるため、預金のような安全資産を好んだ影響だ。債券価格も下落(債券金利上昇)する。税収はもちろん、公的年金不足で政府が国債発行を増やせば債券金利を引き上げるためだ。
金融消費者が肌で実感している変化は保険だ。孤独死保険が代表的な事例だ。日本では2020年孤独死関連法が作られて1人の借家人が賃貸住宅で死亡した場合、家主が受けることになる損害を補償する孤独死保険契約が増加した。朝日新聞によると、日本の「高齢者孤独死」は年間6万8000人余りと推算した。
日本では定年の延長と共に年金受給時期も遅らせる案を検討中だ。金融研究院の資料によると、日本は2025年から65歳まで雇用を義務化する。日本政府は年金受給時期も定年延長にあわせて65歳に遅らせる方向で議論している。少子高齢化で年金受給額が減り、保険料納付期間をさらに長くすることを検討するということだ。
ソウル大のチョ・ヨンテ人口政策研究センター長(教授)は「高齢化だけでなく首都圏への人口集中化、地方高齢化など韓国の人口構成と構造が急速に変化し、目前の2030年にも金融環境が変わらざるを得ない」と強調した。5~6年後にミレニアル世代(1980~1994年生まれ)の相当数が消費の主軸である40代に進入する点も変数だ。チョ教授は「ミレニアル世代は30代にヨンクル(霊魂までかき集めるように資金をかき集める)までして家を買ったケースがあまりにも多く、過去のベビー世代とは違い、負債負担で消費が萎縮する場合がある」と展望した。
2024/07/05 07:29
https://japanese.joins.com/JArticle/320746