38年ぶりの記録的な「スーパー円安」が続いていることで、韓国経済にも否定的な影響が及ぶ恐れがあるとの懸念が高まっている。日本と競争する国内輸出企業の価格競争力が低下するとともに、経常収支の黒字基調にとっても悪材料になりうるからだ。ウォンの価値も同時に下落すれば、国内金融市場全般にリスクが拡大する恐れがあると警告する声もあがっている。
4日の韓国貿易協会の分析によると、世界市場における韓日両国の輸出競合度(2023年)は0.458。輸出競合度は1に近いほど競争が激しいことを意味するが、通常は0.5以上であれば競合度が高いと評価される。
特に伝統的な主力輸出分野での競合度が高い。石油製品の競合度は0.827に達し、自動車・部品(0.658)、船舶(0.653)、機械類(0.576)なども比較的高い。韓国経済研究院(韓経研)は最近の報告書で、円安が1%進むごとに韓国の輸出額増加率は0.61ポイント低下すると分析している。この日も円とウォンの交換レートは100円=855.56ウォンで、前日(858.79ウォン)より3.23ウォン円安が進んだ。850ウォン台というウォンと円のクロスレートは、2008年以降で最低の水準だ。
専門家は、韓日の輸出競合度はかつてと比べれば低下しているが、円安が長期化すれば否定的な影響は避けられないと診断する。韓国開発研究院(KDI)のキム・ミル国債研究チーム長は、「輸出競合度は下落傾向を示しているが、造船や自動車などの主力業種では比較的高い水準」だとし、「現在、韓国もウォン安ドル高だが、『超円安』が続いていることで、輸出企業が享受するウォン安のプラス効果は半減しうる」と述べた。早稲田大学国際学術院のパク・サンジュン教授は2日の韓経協主催のセミナーで、「日本企業は商品単価を円安の幅ほどには下げずに、営業利益を最大化している」とし、「ウォンが円とともに安くならなければ、韓国企業の営業利益は打撃を受けざるを得ない」と分析した。
旅行収支の赤字拡大は、経常収支の黒字基調にとっても悪材料となる見通しだ。韓国銀行の統計によると、昨年の旅行収支の赤字は125億2700万ドルで、過去5年の最高値を記録したが、そのうち対日赤字は33億8000万ドルにのぼる。韓銀の関係者は、「通常は留学や出張資金の支出が多い対米旅行収支の赤字が大きかったが、昨年から円安の効果で日本への観光客が増え、対日旅行収支の赤字が拡大している」と語った。韓国観光公社の集計によると、今年1~4月に日本を訪れた観光客は299万9901人で、昨年同期(206万7670人)に比べ45.1%も増加している。
外国為替当局と専門家は、「ウォンと円の同調化」現象でウォンの価値が同時に下落するリスクを懸念する。世界的な外国為替投資家がリスク回避のためにウォンと円に同時に投資(プロキシヘッジ)するケースは多いが、それによってウォンの価値が同時に下落する可能性があるからだ。韓銀のイ・チャンヨン総裁は4月の記者懇談会で、「ウォンの価値が周辺国の通貨にプロキシ(代用)されたため、韓国のファンダメンタルに比べて過度にウォンの価値が低下する側面がないかを注視している」と警戒している。4月に1ドル=1400ウォン台に突入しドルが急騰した際にも、円安にともなうプロキシ効果が強かった、というのが韓銀の診断だ。ハイ投資証券リサーチ本部のパク・サンヒョン専門委員は、「国内の産業と企業は、米国主導のサプライチェーン再編で困難に直面している中、スーパー円安の長期化で少なからぬ被害を受けている」とし、「ウォンと円の同調化現象が強まっている状況にあって、日本政府が円の価値を守るために海外資産を売却するとともに、攻撃的な緊縮に乗り出せば、国内金融市場には大きな負担として作用するだろう」と語った。
2024/07/05 06:00
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/50510.html