首都圏と地方(非首都圏)間の消費・生産格差が徐々に広がる現状の最も大きな原因は「人口両極化」だ。9日、韓国行政安全部によると、地方5大広域市〔釜山(プサン)・大邱(テグ)・光州(クァンジュ)・大田(テジョン)・蔚山(ウルサン)〕の青年(15~34歳)人口の減少に歯止めがかからない。釜山では2023年青年人口が2013年比25%減ったほか、大邱と光州でもそれぞれ22%、18%減少した。蔚山では27%減って減少率が最も大きかった。首都圏と非首都圏間の賃金・成長率・文化・医療などの格差が大きくなり、青年流出が進んでいるものとみられる。青年離れで衰退した地方では良質の雇用がなくなり、各種インフラが減少するなど地域経済エコシステムが縮小している。これはまた「青年エクソダス」を刺激する悪循環につながる。
こうしている間、韓国の30大企業のうち首都圏企業の比率は95.5%に達し、ソウル大・延世(ヨンセ)大・高麗(コリョ)大など上位10大総合大学のうち首都圏の比率は100%だ。知識サービスや情報技術(IT)産業中心に構造が変化すれば、このような「首都圏偏重」現象が深まる可能性が高い。知識の共有と波及が核心的なIT産業の特性上、集積経済の重要性が浮上しているからだ。人材はネットワーク効果を最大化する大都市を探して、企業は人材が集まったところに席を占めるということだ。韓国銀行は「高付加価値生産の源泉になる暗黙知の情報は相互信頼に基づく対面関係を通じて伝えられる」とし「大都市が知識産業成長に有利で人口流出地域では産業競争力および生産性弱化が一層加速化するだろう」との見通しを示した。
衰退する地方と過密化する首都圏はそれ自体で社会持続可能性を阻害するという指摘が出ている。首都圏では競争激化によって結婚・出生が萎縮し、地方では青年層が子どもを産み育てる以上、定着することがためらわれるような環境だ。
専門家は地方に少数の拠点都市を育成してソウルを少しでも代替できる水準に育てていかなくてはならないと注文する。韓銀の分析によると、地方大都市が大きければ近隣地域もプラスの影響を受ける。例えば釜山の生産性が1%改善されれば慶南(キョンナム)と蔚山の地域内総生産(GRDP)はそれぞれ0.9%、1.1%増加すると推定される。
中央(チュンアン)大学都市計画・不動産学科のマ・ガンレ教授は「拠点都市に来た企業に法人税・所得税の差別適用など税制インセンティブを与えるだけでなく、青年人材をあわせて引き込むことができる支援策をパッケージで示さなくてはならない」とし「定住条件を改善して住宅特別供給、育児・保育支援策などを用意して青年人材が好む空間にしなければならない」と提言した。
▽地域基盤企業を育成し、定着できるように支援する方案▽公共機関や大学などを地方大都市に移転する案–なども議論されている。マ教授の研究によると、2030年から2060年まで600兆ウォン(70兆円)の財源を非首都圏に集中的に投資すれば人口365万人の減少を防ぐことができる。
かつて青年層が大都市に流出する現象を懸念した日本も2010年代から「中枢・中核都市」を育成している。拠点都市を中心に集積構造を形成する一方、近隣地方自治体も共に成長することができるように設計する。政府次元で住宅団地を再生して、企業の成長を支援するなど恩恵を与える。関連予算が地道に増え、東京圏を除く10大主要都市には2011~2022年に年平均3万5000人が純流入したことが分かった。2000~2010年に年平均2万1000人が純流入したことに比べて1万4000人増えたことになる。
2024/07/10 06:53
https://japanese.joins.com/JArticle/320933