北京のヒューマノイドロボット革新センターは4月に世界で初めて電気ヒューマノイドロボット「天工」を公開した。油圧でロボットの関節を動かす油圧式ではなく、電気エネルギーで動く天工は油圧式ロボットよりも精密に位置を制御できる。身長163センチメートル、体重43キログラムの天工は1秒当たり550兆回の演算処理能力も備えた。人間の五感と身体の行動に似たヒューマノイドがコミュニケーションまで可能ならば、製造、物流、災害現場、家事労働などで効果的に活用できるだろうという期待が大きい。
こうした中国のヒューマノイドロボットの裏にはAI技術力がある。中国情報通信研究院は2日、「2024世界デジタル経済白書」を公開し、1-3月期に世界のAIユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場スタートアップ)234社のうち71社が中国にあると発表した。価値あるAI企業の3社に1社は中国にあるという自信だ。
◇中国政府がロボット産業の成長主導
電気自動車や半導体産業でそうしたように、中国政府はロボット産業も直接育成した。2021年に中国工業情報化部など8官庁は「第14次知能型製造発展5カ年計画」を通じて2025年までに年間売り上げ2000万元(約4億4357万円)以上のメーカーにデジタルインフラを義務化した。小規模企業も生産効率と製品歩留まり、エネルギー活用の面で製造革新をしろという意味だ。
中国最大のロボット・自動化企業の新松ロボットは建設機器・バイクメーカーから2000年に航空宇宙・エンジニアリング分野に拡張して跳躍した。海上高速道路建設、水力発電プロジェクトなど大型の国家プロジェクトに参加して技術を蓄積した。新松ロボット社長は「こうした支援のおかげで中国の産業用ロボット産業が大きく発展し、輸入依存度も下がった」と中国グローバルタイムズに明らかにした。中国はいまでは日本のファナックと安川電機、スイスのABB、ドイツのクーカなどが掌握した先端産業用ロボットを国産化する段階に入った。バッテリー部品組み立てなど高い精確度を要求するロボットも直接製造するということだ。
韓国でもロボット産業の重要性をわからないわけではない。現代自動車グループは2020年に米ロボティクス企業ボストン・ダイナミクスを買収してこの市場に進出し、ヒューマノイドの「ヒューボ」を開発した韓国科学技術院(KAIST)のオ・ジュンホ教授が設立したレインボーロボティクスはサムスン電子の投資を受けて注目を浴びた。しかし依然として市場が小さく、技術リーダーシップも中国より弱くなったという評価が出ている。市場調査会社スタティスタによると、今年の韓国のロボット市場規模は16億4000万ドルで、中国の68億2000万ドルの4分の1水準だ。成均館(ソンギュングァン)大学機械工学科のチェ・ヒョンリョル教授は「10年前には韓国がロボット新技術を発表すれば中国の企業・学界が来て写真や動画を撮って行ったがいまは正反対。韓国に立派な人材がいても、政府の関連分野の研究開発支援は10年にわたり停滞した状況」と話した。
2024/07/10 08:25
https://japanese.joins.com/JArticle/320946