11日から4日間にわたり英ウエストサセックス州チチェスターで開かれた英国最大の自動車イベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で最もにぎわった所はBMW、ポルシェのような欧州の伝統的強豪企業の展示ブースだった。ロータス、マクラーレン、ジャガーなど英国の自動車ブランドのブースも観覧客の足は絶えなかった。ところが有名ブランドに劣らず人々を集め目に付いた所があった。中国ブランドのBYDだった。
「思ったより悪くなさそうだ」。BYDのブースを訪れた英国人男性は同社の「シール」を見て話した。彼は運転席にも座り、トランクも開けながら車をくまなくチェックした。BYD関係者には充電方式と走行距離などを詳しく尋ねた。彼はすでにテスラの電気自動車を持っているとしながら、電気自動車に関心が多く追加で購入したり車を買い換えることを考慮していると話した。一方ではBYDがユーロ2024のスポンサーである点を掲げてサッカー体験ができる空間を作り子どもたちの人気を集めていた。
BYDのブースのすぐそばではBYDのラグジュアリーブランド「仰望」が展示されていた。仰望の電気ハイパーカー「U9」は特に観覧客の視線を引き付けた。通常の内燃機関ハイパーのようにスリムなデザインとガルウイングドアを採択したこの自動車を背景に英国の観覧客は写真を撮った。U9は油圧装置、ダンピングなどを利用して車体を浮かす機能があるが、仰望がこの機能を利用してまるで車が踊るように動く演出をした時に観客の歓声が沸き上がった。この車両はグッドウッドフェスティバルのヒルクルライムトラックを走り走行の実力も披露した。
習近平中国国家主席の儀典車ブランドとして有名な「紅旗」のブースも近くにあった。多くの観覧客は集められなかったようだが、一部の英国人は紅旗の中国的なデザインに関心を見せた。
グッドウッドフェスティバルは欧州車ブランド中心のイベントだ。欧州以外の国では韓国がジェネシスを、日本がホンダを展示した。米国もハイパーカー企業ジンガーのように車両を少数で生産する企業を除けば大衆的ブランドはフォードしかなかった。ところが中国はBYD、仰望、紅旗をはじめ、吉利自動車の大衆ブランドのオモダと高級ブランドのジーカーなどがブースを設けた。
開けてみれば中国車はもっと多かった。今回のイベントの主要行事のひとつはMG設立100周年記念だった。MGを象徴するオブジェもイベント会場の最も目立つ位置に建てた。MGは英国代表自動車メーカーだった。過去型だ。2005年にMGは中国の上海自動車に買収された。現地で会った英国人もMGを英国車と認識していたが、いまは事実上中国車だ。。昨年英国で2番目に多く売れた電気自動車はMGの「MG4」だった。3番目に多く売れた電気自動車「ポールスター2」もやはり中国で生産される。
◇中国、英国の自動車市場に力入れる理由
グッドウッドフェスティバルで確認されたのは中国車の英国市場浸透の努力だった。まだ英国で中国車が大衆的とは言いがたい。英国自動車工業協会の統計を見れば、今年初めから現在まで英国で売れた中国車ではBYDが最も多く売れたが2904台にしかならない。起亜(キア)が6万366台売っているのでわずかな数値だ。注目すべき点は上昇率だ。BYDは前年同期には99台しか売れなかった。まだ少量だが電気自動車中心にBYDの英国内需要が大きくなり、今年は前年比30倍近い販売台数を記録したわけだ。こうした上昇の中で中国車ブランドが英国攻略に向けグッドウッドフェスティバルに力を入れたと分析される。
関税の影響も背景にある。欧州連合(EU)は先月中国製電気自動車に対する反補助金調査予備結論を基に既存の関税10%に加えて17.4~38.1%の暫定関税を追加で課すことに決めた。追加関税が課されれば中国製電気自動車のEU向け輸出が42%減るというドイツとオーストリアの研究機関によるシミュレーション結果も出された。これに対し欧州で自動車市場規模2位である英国はEUを離脱しており追加関税の影響を受けない。
まだ英国労働党政権は中国製電気自動車に追加関税を課すという具体的な動きを見せていない状態だ。さらに英国内では環境のため電気自動車転換が至急だが安い中国製が電気自動車転換に役立つという一部の声もあると英日刊紙ガーディアンが伝えている。中国の自動車メーカーの立場では欧州で電気自動車市場を攻略するのに英国ほどの所はない形だ。
2024/07/14 12:48
https://japanese.joins.com/JArticle/321096