物価高は進行形だ。6月の消費者物価上昇率が2.4%に下がると、政府は「安定した流れ」と評価した。同意することはできない。その間、あまりにも大きく上がったのが止まったと見るべきだ。1万ウォンの冷麺一杯が1万5000ウォン(約1700円)まで上がって止まったのを安定といえるだろうか。国民をだますようなものだ。2021年以降の累積物価上昇率は14%に達した。生活物価はさらに大きく上がった。先月、新鮮食品は11.7%上昇した。ナシは139%、リンゴは63%値上がりした。いつのまにか果物・野菜価格はOECD(経済協力開発機構)最高水準になった。恥ずかしいOECD1位(低出生率、高齢者貧困、自殺率、男女賃金格差…)がまた一つ増えたということだ。
政府の対策には危機感がない。毎日同じ声を出している。財政を支援し、流通構造を改善し、市場監視を強化し…。高金利だけでは物価を抑えるのに限界がある。自営業者800万人という脆弱な経済構造で高金利に固執するのも難しい。発想の転換が必要だ。消費者物価上昇の30%は農産物のためだという。気候危機による構造的な問題なら、栽培を増やしても解決する問題ではない。リンゴとナシを輸入しようという李昌鏞(イ・チャンヨン)韓国銀行(韓銀)総裁の提言は傾聴するに値する。
市場を尊重するものの、市場が失敗して作動しなければ政府が動かなければいけない。冷麺・コンククス(豆乳麺)が1万5000ウォン、日本より高い物価、これは受け入れがたい。2008年に李明博(イ・ミョンバク)政権は52件の生活必需品の価格を特別管理したところ、世論の批判を浴びた。自由市場原理を害して価格を歪めるという理由だった。振り返ってみると、グローバル金融危機の渦中にその程度の値動きで済んだのは政府の介入のおかげでなかっただろうか。「任期5年間に物価は年平均3.3%上昇した。52件の生活必需品はそれより低い上昇率だった」(李明博著『大統領の時間』)。
物価は一度上がれば落ちにくく下方硬直性が強い。安定を取り戻すまで長い時間がかかる。その時まで苦痛を分担するしかない。公共部門は緊縮し、企業・農民など生産者も損を覚悟しなければいけない。流通業者(特に配達アプリが問題だ)はマージンを減らし、消費者も価格の上昇に耐えなければいけない。全体が少しずつ譲歩しながら耐えられるほどの物価水準を見いだすのが政府の役割だ。リンゴ1個が5000ウォンなのに、民生討論会をいくら長く続けても意味はない。最近は住宅価格がまた不安定だ。物価高を解決できなければ、他のことをいくらうまくやっても失敗した政府という烙印を押される。政府があらゆる手段を動員しながら切迫感を持って取り組まなければ政権を失うことになるだろう。
コ・ヒョンゴン/編集?
2024/07/16 13:33
https://japanese.joins.com/JArticle/321197