5年後に韓国の一般政府債務が1715兆ウォン(約194兆円)に達するという国際通貨基金(IMF)の見通しが出てきた。国の借金規模はますます急速に増えている。野党の追加補正予算案編成圧力まで強まり現在の見通しよりも実際の国の借金増加傾向はもっと急だろうという懸念が大きくなっている。
◇政府債務見通し、さらに暗く
IMFが24日に出した世界経済見通し報告書によると、韓国の一般政府債務(D2)は2029年に1715兆ウォンまで増加する見通しだ。2023年の1234兆ウォンより39%多い。毎年国の借金が80兆ウォンずつ増えていくという意味だ。一般政府債務は国の債務に非営利公共機関の債務を加えたもので、国際比較に活用される統計だ。
IMFは韓国の国内総生産(GDP)比の一般政府債務の割合が2029年には59.4%に達すると予想した。IMFは毎年見通しを出すが昨年より今年の見通しで債務増加速度がより速いとみた。昨年は2028年のGDP比債務比率を58.2%としていたが、今年は58.9%まで上昇してだ。国の借金が予想よりも速く増加しているという意味だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足した2017年には政府債務が736兆ウォンにすぎなかった。
韓国の政府債務増加速度は他国と比べても特に急だ。ドイツや日本など一部先進国は2023年以降に債務比率を減らしていくことが明らかになった。一般政府債務総額でみれば2023年と比べた2029年の増加率は米国が40.0%、英国が33.6%、フランスが26.9%、カナダが12.4%の順だ。主要先進国のうち米国を除くと韓国の債務増加率が39%で最も高い。
◇10兆ウォン台の追加補正予算時は債務さらに増える
国の借金が増えるという見通しが明確な状況で野党「共に民主党」は全国民民生支援金25万ウォン支給に向けた追加補正予算編成の圧力を増している。民生支援金は李在明(イ・ジェミョン)代表が掲げた総選挙公約のひとつだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と李代表の党首会談でも民生支援金が主要な議題に上がる予定だ。企画財政部は追加補正予算に難色を示しているが、党首会談で合意に達する場合、追加補正予算編成は避けられない。
全国民に25万ウォンずつを支給するには13兆ウォンが必要だ。10兆ウォン前後の赤字国債を発行しなくては財源を調達できない。言い換えれば、支援金を支給するために国の借金が増えるという意味だ。2022年5月以降一度もなかった追加補正予算が再開されれば現政権でも同様の事例が繰り返されるとの懸念も出ている。
◇税収見通しまで暗く
今年の税収にも警告灯が灯った。支払い先は多いが収入が十分でない様相だ。昨年サムスン電子の国内営業利益は11兆5000億ウォンの赤字を記録した。前年の営業利益を基準として法人税が策定されるため赤字の場合は法人税を出さない。SKハイニックスもやはり7兆ウォン台の営業損失で今年の法人税は0ウォンが有力だ。政府は前年の80兆4000億ウォンの法人税収を根拠に今年は77兆6000億ウォンの法人税収入があると予想したが、これを下回る可能性が大きくなった。
延世(ヨンセ)大学経済学科のヤン・ジュンモ教授は「政府で国の債務が大幅に増え国債を追加発行するのはとても慎重であるべきこと。いま解決すべき経済課題は物価・為替相場・産業競争力であり支援金を与えることではない」と話した。続けて「全国民支援金方式が外食価格を中心に物価を引き上げるというのはすでに立証された事実」と付け加えた。
2024/04/25 13:09
https://japanese.joins.com/JArticle/317899