米中央情報局(CIA)出身の韓国系北朝鮮専門家、スミ・テリー米外交問題評議会(CFR)上席研究員が、韓国政府から高価なバッグや衣類、食事などを提供される代わりに、韓国のために活動したという容疑を受け、米連邦検察によって起訴された。韓国政府の対外情報活動に支障を来す可能性もあるとみられている。
ニューヨーク・タイムズ紙は16日(現地時間)、ニューヨーク・マンハッタン連邦検察の31ページにわたる訴状を引用し、テリー研究員にこのような容疑を持たれていると報じた。連邦検察は「韓国政府のために、その指示に従って広範囲な活動をしたにもかかわらず、法に則り外国エージェントとして登録しなかった」とし、テリー研究員を外国代理人登録法違反の疑いで起訴したと明らかにした。関連法は、米国に居住しながら外国政府や政党、会社、個人などの利益を代弁する活動をする場合、そのような事実を当局に届け出ることになっている。
控訴状には、テリー研究員が中央情報局を離れて5年後の2013年頃、ニューヨーク市国連韓国代表部の外交官に装った韓国国家情報院の関係者と接触し、以後10年にわたり、業務に対する見返りとして、数千ドル相当のルイ・ヴィトンやボッテガ・ベネタのバッグとドルチェ・アンド・ガッバーナのコートを受け取り、豪華なレストランで接待を受けたという内容が含まれた。テリー研究員がバッグや衣類などを購入する際、国情院要員が同行し、代金を払う場面などが含まれた監視カメラ(CCTV)映像なども提出された。
控訴状には、テリー研究員が勤めていたシンクタンクを通じて秘密の資金を少なくとも3万7000ドル(約580万円)などを受け取った後、韓国政府が要請したテーマについて友好的なコラムを作成したという内容も含まれている。2022年、アントニー・ブリンケン米国務長官との非公開会議で出た米政府の北朝鮮政策関連の非公開メモを韓国政府に伝えており、ドナルド・トランプ政権時代に官僚や米議会職員に国情院要員を紹介したという内容も登場する。ニューヨーク・タイムズ紙は2014年頃、連邦捜査局(FBI)で関連疑惑が浮上したことで、テリー研究員に関する調査が始まっており、昨年6月連邦捜査局調査でCIAを退職した契機が解雇より辞任を選んだためだと、(本人が)打ち明けたと報道した。CIAで勤務していた当時も、韓国情報機関との接触が問題になったものとみられる。テリー研究員側の弁護人であるリ・オロスキー氏は検察の主張には根拠がないと一蹴し、「控訴状が主張する時期、テリー研究員は韓国政府に対する強い批判者だった」と反発した。同紙は駐米韓国大使館に立場を要請したが、答えなかったと明らかにした。
国情院の活動が米検察の控訴状を通じてマスコミにそのまま報道されたことで、外交街では大きな波紋が広がるものとみられる。ニューヨーク・タイムズは今回の起訴が「米国内で外国の影響力を抑制するための措置の一環」だとし、フィナンシャル・タイムズは昨年、米国防総省による韓国大統領室盗聴疑惑事件に続き、韓米間の情報流出関連事件が続いていると指摘した。
韓国系米国人のテリー研究員はソウルで生まれ、バージニア州で育ち、2001年から2008年までCIAの首席分析官を、その後は米国国家安全保障会議(NSC)で韓国・日本・オセアニア担当局長を務めた。シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)上席研究員、ウィルソンセンターのアジアプログラム局長などを歴任した。
2024/07/17 20:38
https://japan.hani.co.kr/arti/international/50626.html