人工知能(AI)ブームに資金が集まって熱くなっていた半導体市場に冷たい風が吹いている。バイデン政権と米共和党大統領候補のトランプ氏が「半導体貿易障壁」を高めているからだ。17日(現地時間)、米フィラデルフィア半導体指数が約4年ぶりの最大下落幅となり、グローバル半導体代表株エヌビディアの株価も一日で7%急落した。米国の半導体株急落を受け、18日のアジア株式市場も一斉に下落した。
グローバル半導体企業の株価が下落したのは、バイデン政権が対中国貿易制裁をより一層強化する可能性があると伝えられたからだ。ブルームバーグ通信は17日(現地時間)、オランダのASMLや東京エレクトロンが今後も中国に先端半導体技術への接近を許す場合、米国が「最も厳格」な貿易制限措置を取ることもあると報じた。米国の制裁にもかかわらず中国半導体産業が急速に成長する中、米国が中国封鎖網を強化するためオランダ・日本など同盟国にも制裁を強化するよう圧力を加えたと分析される。
市場では米国が取り出す可能性がある「最も厳格」な貿易制限カードに「海外直接生産品規定(FDPR)」を挙げている。FDPRとは、米国でなく他国で生産された製品であっても、米国産のソフトウェアや装備、技術などを使用したとすれば米国政府が輸出を統制する措置だ。
トランプ氏の発言も半導体株への投資心理を冷え込ませた。トランプ氏は16日(現地時間)、ブルームバーグビジネスウィークのインタビューで「台湾が米国の半導体事業の100%を持っていった」とし「台湾は自国防御のために米国に防衛費を支払うべきだ」と圧力を加えた。
市場ではトランプ氏の発言はバイデン政権が半導体投資を誘致するために台湾TSMCなどに支給した半導体補助金を問題にしたと解釈した。またCNBC放送は「トランプ氏が大統領に当選する場合、中国の攻撃があれば台湾を防御するという米国の約束に疑問を投げかけるとし、地政学的な緊張感まで高めた」という見方を示した。
トランプ氏に続くバイデン政権の「半導体挟撃」に米国株式市場に上場された半導体企業は最悪の一日を送った。17日(現地時間)のニューヨーク株式市場で米国の半導体企業を代表するフィラデルフィア半導体指数(SOX)は前日比6.81%下落した5408.71となった。2020年3月18日(-9.8%)以来の最大の下落幅だ。エヌビディアが前日比6.62%下落したほか、AMD(-10.21%)、ASML(-10.98%)が10%以上急落した影響だ。
18日のKOSPI(韓国総合株価指数)は前日比0.67%下落した2824.35で取引を終えた。取引中には2800割れに近づいた。半導体企業のSKハイニックス(-3.63%)は前日5.36%下落したのに続き、2日連続で値下がりした。サムスン電子(0.23%)は一時3%以上落ちたが、取引終了直前に劇的に上昇に転じた。
KOSPIだけでない。この日、日経平均(-2.36%)と台湾加権指数(-1.56%)は下落幅が大きかった。特にバイデン政権の対中国貿易制裁関連の直接的な圧力を受ける東京エレクトロンは直撃弾を受けた。18日、東京株式市場で東京エレクトロンの株価は前日比8.75%下落した3万470円で取引を終えた。
専門家らは米大統領選挙を控えて当分はグローバル半導体産業の不確実性が高まる可能性があると口をそろえた。CFRAリサーチのアナリスト、アンジェロ・ジノ氏は「11月の大統領選挙を控えてバイデン氏とトランプ氏はともに(対中国半導体輸出に)強硬な立場を見せるはず」と述べた。ハイ投資証券のソン・ミョンソプ研究員は「(トランプ氏の当選で)高関税賦課が再開される場合、韓国の対中国半導体輸出も打撃を受けるかもしれない」と予想した。
2024/07/19 15:15
https://japanese.joins.com/JArticle/321372