米大統領選 「誰が執権しても韓国の軍事役割拡大を要求、『ビッグカード』の準備を」(1)

投稿者: | 2024年8月5日

一触即発の韓半島(朝鮮半島)に大きな影響を及ぼす米国大統領選挙(11月5日)が3カ月後に迫った。トランプ前大統領暗殺未遂事件、バイデン大統領の候補辞退で状況はさらに混迷している。

中央日報は実務経験が豊富な韓米関係専門家5人に深層インタビューをし、次期米政権の方向性を眺めながら尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権がこうした波を越えるための対策について議論した。専門家らは▼韓半島安全保障▼経済安全保障▼米中競争など大きな懸案に関連し「どの政権になるか予測が不可能な状況であるだけに準備をしっかりとする必要がある」と注文した。

 専門家らは民主党のカマラ・ハリス副大統領が当選しても、外交安保政策はバイデン路線に従うと予想している。すでに「ワンチーム」であり、選挙が目の前という状況で、新しい政策チームを構成する時間的な余裕がないため、バイデン政権の参謀など従来の陣容で進む可能性が高いという点でだ。すなわち韓国の未来は「バイデン2.0対トランプ2.0」の対決構図から抜け出せないということだ。

専門家らによると、同盟を重視してきたバイデン大統領の後継者が執権しても変化は予想される。韓国にインド太平洋地域での軍事的な役割拡大を要求するなど負担が増える可能性があるという診断だ。これをめぐり「与えるものは与え、受けるものは受ける」実利的な戦略で、米国に「核共有」レベルの北朝鮮核対策を要求すべきという提案があった。

トランプ氏は韓国を「裕福な国」と繰り返し強調しながら、防衛費分担金の増額、関税爆弾などを予告してきた。これに対応して韓国政府がトランプ氏が重視するエネルギー産業に積極的に投資しながら共同開発もする「エネルギー安保同盟」など大胆の交渉カードを提示すべきという意見も出てきた。また、米国の次期政権が「中国叩き」参加に圧力を加える場合、中国の反発に備えた方策も用意すべきというのが、専門家らの注文だ。

◆「NATO式核共有を推進…核武装に言及すべきでない」

足元の火は韓半島安保地形の急激な変化だ。朝ロが軍事同盟レベルで密着しながら、北朝鮮の核・ミサイル脅威が新たな局面を迎えたからだ。韓国国内では政界を中心に独自核武装論にまで言及されている。ウクライナ戦争などと重なる事案であるだけに、米大統領候補の立場が明確に分かれる点でもある。

▼キム・ヒョンウク世宗研究所長(元国立外交院米州研究部長)=民主党が再執権すれば北朝鮮の脅威に対しては韓米核協議グループ(NCG)に代表される拡大抑止政策を強化するはずだが、現在は米国の核戦力と韓国の通常戦力を統合運用する案(CNI)にまで進化した状況だ。これを発展させて韓国軍の戦闘機に米軍の核兵器を搭載するなど「NATO式核共有」方式を推進する必要がある。また戦術核トマホークSLCM(潜水艦発射巡航ミサイル)を搭載した米潜水艦を韓半島に展開させるなど実質的な「核の傘」を強化する必要がある。トランプ氏は米国がリスクに資金とエネルギーを注ぐことを極度に嫌う。ウクライナ戦争を早期に終わらせれば朝ロ軍事協力も自然に消えるとみる。こうした側面でトランプ氏側の人たちは「韓国の核武装を容認できる」という話をするが、実際には核拡散防止条約(NPT)脱退など越えるべきハードルが多い。トランプ氏が再執権しても韓国の核保有は現実的に可能性が低い。ただ、核燃料濃縮再処理施設は原発輸出および原子力の平和的利用と関係があるため、米国に「非核保有」を前提に説得していかなければならない。

▼ペク・キヨプ韓米同盟財団顧問(元駐ホノルル総領事)=元米軍幹部らと接触すると「韓国内の核武装に言及されること自体が韓米同盟に対する信頼が崩れた傍証」という声を聞く。ワシントンが「同盟不信」と受け入れれば、どの政権になろうと韓米関係は揺らぐしかない。民主・共和を問わず米国指導部は韓国の核武装が東アジアに災難(核ドミノ)を招くと信じている。尹政権は核武装を取り上げない方がよい。米国の拡大抑止についても同盟間の信頼問題に触れるべきではないとみる。

◆「トランプ氏、SMA覆す可能性…韓国の寄与イメージを強調すべき」

韓米連合訓練、戦略資産展開、防衛費分担金など韓米が議論すべき軍事的な難題も山積している。すでに韓国政府はトランプ氏の再執権に備え、2026年以降の在韓米軍駐留費のうち韓国が負担する役割を定める防衛費分担特別協定(SMA)を年内に妥結するという目標で交渉に入った。

▼マ・サンユン韓国国際政治学会長(元外交部外交戦略企画官)=トランプ氏の立場では一つ一つがすべてお金の問題だ。特に防衛費分担金が浮き彫りになるが、NATO(北大西洋条約機構)に対しては欧州の加盟国がもっと多く負担しなければNATO自体を弱化させると脅迫する。韓米同盟でも似た接近をする可能性がある。今年SMAを締結しても、トランプ氏が当選すれば覆すことも考えられる。最大限に交渉をするべきだが、通商と連係して米国産製品や資源をより多く買うことが現実的だ。

▼キム・ヒョンウク氏=バイデン政権でSMA交渉を始めたというのは幸いだ。年内に終えるべきだが、トランプ氏当選の可能性が高まれば速度が落ちることもある。SMAを年内に締結してこそ、トランプ氏の攻撃対象をNATO・日本・台湾などに向けることができる。トランプ氏には韓国企業が米国に工場を建設し、多くの雇用を創出するなど寄与しているというメッセージを継続して出さなければいけない。米国の対中国牽制に韓国が参加しているというイメージを与えることも重要だ。

◆「バイデン氏、北朝鮮放置…トランプ政権当時もハンドル握れず」

米大統領選挙以降の朝米関係も変数だ。政府の内外では、米国が関係改善のための誘引策として事実上北朝鮮の核保有を認める「核凍結」などのカードを取り出す可能性があると心配している。

▼マ・サンユン氏=バイデン政権は北朝鮮の軍事的脅威に対応して拡大抑止を強化してきたが、そのほかは特に対北朝鮮政策がなかった。中国との戦略的競争、ウクライナ戦争とガザ地区の紛争などを考慮すると、米国の政策優先順位に北朝鮮はなかったといえる。民主党から他の候補が出てきても新しい突破口は開かれないとみられる。一方、トランプ氏は金正恩氏との直接対話に向かうだろう。最悪の場合、米国が北朝鮮の完全な非核化でなく、核凍結のような暫定的な目標に満足する場合、我々としても困惑な状況になる。さらに北朝鮮は「通米封南」形態で韓国をスルーするはずだが、ここからを抜け出すのは難しい。文在寅(ムン・ジェイン)政権が「韓半島運転者論」を主張したが、実際、我々がハンドルを握ったような感じはない。ここから抜け出すには米国を韓国の考えと論理に基づいて動くよう説得するしかない。それだけ首脳級を含む対米外交に全力を尽くさなければならない。

2024/08/05 16:41
https://japanese.joins.com/JArticle/322025

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