米国の貿易赤字国目録で、韓国が史上初めて日本を抜いた。それだけ自動車など韓国の対米輸出競争力が強化された成果だが、「アメリカファースト(米国第一主義)」を前面に出すトランプ前大統領が再執権した場合、リスクになる場合があるとの懸念も出ている。
9日、米国商務省の輸出入動向報告書を韓国貿易協会と分析した結果、米国の韓国に対する上半期(1~6月)の累積貿易赤字は340億7800万ドル(約5兆183億円)を記録して日本(34億4000万ドル)を抜いた。米国の主要国貿易赤字規模で韓国が日本よりも大きくなったのは今回が初めてだ。今年1~5月は日本が韓国を上回っていたが、6月に入りこれが逆転した。
世界基準ではアイルランドに続き6位を記録した。貿易協会によると、2021年は10位圏外(14位)だった韓国の貿易赤字国順位は2022年9位、2023年8位など急上昇してきた。特に今年1~5月までは累積基準でカナダを抜いて7位に入り、先月は日本を抜くまでになった。米国の中国に対する貿易赤字は今年上半期1276億5300万ドルで圧倒的な規模を記録し、続けてメキシコ(827億400万ドル)、ベトナム(565億6800万ドル)、ドイツ(422億5500万ドル)、アイルランド(382億4100万ドル)の順となった。
これは韓国の対米輸出が今年好況を見せた影響が大きい。今年上半期基準の対米輸出は前年比16.8%増となる643億ドルを記録し、同じ期間の対中輸出(634億1000万ドル)を越えた。反面、対米輸入はかえって3.1%減り、対米貿易黒字は昨年より56.7%高まった287億1500万ドルを記録した。上半期基準で歴代最大値だ。米国の立場における赤字規模と韓国の立場における黒字規模が正確に一致しないのは時差や各国の輸送費・保険料算定方式に違いがあるなどのためだ。
特にエコカーや高付加価値車種の人気を背に、韓国製自動車の輸出が大きく拡大し、米国政府が半導体・二次電池だけでなく電力網・通信網・港湾インフラなどのサプライチェーンでも中国を排除している点も韓国輸出実績に影響を与えたと分析される。産業研究院のシン・ユンソン研究委員は「米国内の自動車価格が良いため韓国に有利に働いた」とし「最近のウォン安が輸出に肯定的な影響を与えた側面もある」と解説した。
韓国の貿易赤字国順位が上がって肯定的な評価と懸念が混じった展望が共存している。まず、米国における韓国の商品競争力が向上したという意味だと解釈することができる。貿易協会動向分析室のチャン・サンシク室長は「自動車だけでなく、半導体や一般機械など韓国商品のラインナップが多様化して競争力が引き続き維持されている点では肯定的に見える」とし「特にバイデン現米国政府の産業戦略において、韓国が重要なパートナーとして席を占めているという信号としても解釈することができる」と明らかにした。
問題は11月米大統領選挙でトランプ前大統領が勝利する場合だ。保護貿易主義を前面に出して「邪魔者」である赤字国を対象に貿易の流れをバランスよく調整しようとする可能性が大きいためだ。トランプ前大統領は先月共和党大統領候補受諾演説で「我々は自動車製造業を再び米国に、速かに持ってくる」としながら「他の国々が来て、我々の雇用を奪っていき米国を略奪させるがままには放っておかない」と明らかにした。また、平均3%台の関税率も10%まで引き上げる「普遍的基本課税」を導入するともした。
対外経済政策研究院のカン・グサン北米欧州チーム長は「トランプ氏が当選する場合、第1ターゲットは(貿易赤字規模が大きい)中国と欧州連合(EU)になるかもしれないが、韓国に対しても自動車品目に追加的な関税賦課措置を検討する可能性がある」とし「米政府と持続的にコミュニケーションチャンネルを稼動して不利益を受けそうな部分を最小化しなければならない」と話した。チャン室長も「貿易赤字規模が大きくなるほど韓国を対象にした新しい貿易政策の口実を提供する可能性がある」とし「トランプよりは弱いが、(民主党大統領候補である)カマラ・ハリスが当選したとしても『アメリカファースト』基調は同じなので韓国に対して不満を提起する可能性はある」と明らかにした。
2024/08/09 07:02
https://japanese.joins.com/JArticle/322200