◆スイス、核避難施設100%確保
政府は北朝鮮の汚物風船テロについて「北の住民も恥じる低劣で非常識な挑発」と非難した。韓国軍は対北朝鮮拡声器放送を再開し、汚物風船により人的被害が発生すれば武力行為と見なして北朝鮮の挑発原点を打撃するという立場を明確にした。
またキルチェーン(Kill Chain)、韓国型ミサイル防衛(KAMD)、大量反撃報復(KMPR)で構成された「韓国型3軸体系」能力を持続的に拡大し、北朝鮮の多様な攻撃様相に対応している。問題は、韓米同盟の北核対応戦略が韓米軍を中心にした積極防空の概念にとどまっている点だ。
2014年の日本「核シェルター(Shelter、避難施設)協会」によると、人口あたりの核避難施設の普及率はスイスとイスラエルが100%で、ノルウェー98%、米国82%、ロシア78%、英国67%、日本0.02%だった。韓国の核避難施設普及現況は日本と似た水準、またはそれ以下と推定される。
核避難施設の普及率が低いという事実は、北朝鮮が核をはじめとする大量破壊兵器(WMD)で攻撃する場合、最も大きな被害者となる国民を保護できないということだ。政府の関心と投資の対象でないという意味と見なすことができ、強く懸念される。
韓国の防護施設のうち核・大量破壊兵器(WMD)状況で有効なのは1等級避難施設だけだが、全国にわずか15カ所だ。収容可能人員も約1万2000人だ。1000万人が暮らす首都ソウルも、軍事施設を除いて1等級避難施設は一つしかないという。
◆地下鉄空間は放射能落塵に弱い
軍事専門家らは建物を新築する際に地下避難所設置および内部準備物を義務化するべきだと指摘している。深さ9-15メートルのソウル地下鉄を調査し、有事の際に核避難施設として活用できるよう短期間の生存物資を準備し、情報を国民に共有するべきだと主張する。
しかし地下鉄空間のような3級水準の避難施設は通常兵器攻撃や初期の核暴風効果は避けることができても、その後に長時間続く放射能落塵などによる2次人命被害に対する確実な保護対策ではない。
韓国型3軸体系は北朝鮮の核兵器に対抗した通常兵器による抑止概念だが、北核抑止の実効性の側面で核を非核で抑止するのは不可能だと指摘されている。このために韓国が核を保有し、相互確証破壊(MAD)を通じて北朝鮮の核を抑止しようという独自核武装論を支持する世論が60-70%を維持している。
冷戦時代にスイスやフィンランドなどは周辺国の核の脅威に対抗して戦争の準備と同時に、すべての国民が避難できる地下避難施設を建設した。戦時に使用する防護施設空間を平時には生活およびレジャー空間として活用する。
韓国もこれをベンチマーキングし、3軸体系の発展と同時に戦時核・大量破壊兵器(WMD)攻撃避難を可能にしなければいけない。平時には国民の生活空間として使用できる地下都市型二重用途施設を段階的に建設しなければならない。これ以上遅らせる問題ではない。こうした死角地帯を知りながらも対策を提示しない場合、未来の世代に対する深刻な責任放棄となる。
キム・ホンチョル/世宗大宇宙航空システム学科産学協力重点教授
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2024/08/13 15:00
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