日本は世界で最も「老いた国」だ。法的高齢者年齢の65歳以上の比率が29.1%(2023年基準)にのぼる。韓国は19%だ。しかし韓国は日本より高齢化ペースが速く、2045年ごろには高齢者人口が全体の37%を超えて日本を上回るという見方が出ている。引退後に暮らす期間が過去に比べて長くなったが、金利は低いため、貯蓄がなくなるケースが多い。貧しく長く暮らさなければいけない「長寿リスク」が恐ろしい理由だ。老いた日本は韓国の未来だ。我々よりも先に高齢社会を迎え、数年間にわたり超低金利を維持した日本は、長寿リスクにどのように対処しているだろうか。また、似た環境にある韓国の引退予定者はどう備えるべきなのか。
こうした質問の答えを得るため、韓国と日本の年金専門家が会った。日本企業に確定拠出年金(DC)を導入するのに率先してきた確定拠出年金総合研究所の秦穣治理事長、信栄証券で資産管理(WM)と資産配分部門を総括しているキム・デイル副社長だ。2人の専門家に高齢化・低金利時代の投資方法について尋ねた。
–高齢化リスクが高まっている。先に高齢化を経験した日本はどうか。
秦氏「最近、日本の株価が急騰し、年金資産運用利益も増えた。労働力不足もそれなりに解消されている。退職者が可能な限り長く働こうとし、女性の就職も増えたからだ。しかしこのようなことは一時的なものにすぎない。株式市場はいつ悪化するか分からず、ベビーブーム世代がさらに高齢になれば労働力は不足するしかない。今後の見通しは暗い」
–韓国も高齢化のペースが速くなり、年金市場が注目されている。
キム氏「国内年金市場は急速に拡大している。2023年末を基準に国民年金が約1000兆ウォン(約108兆円)、退職年金が380兆ウォン、個人年金が370兆ウォンほどになる。これだけ合わせても1800兆ウォン近い規模だ。昨年の国内総生産(GDP)の75%にのぼる。10年後の2033年には約3000兆ウォンに拡大すると推定する。金融機関は資産管理の側面で年金市場に力を注ぐしかなく、新しい戦略を悩んでいる」
最近、SNSでは「絶対仕事辞めるマン」という名で活動する日本の会社員が載せた文が話題になった。「このまま円安が続くとFIRE族(早期退職を目指す人)はもう無理ではないかと思う。21年間、何のために一生懸命貯金をしてきたのか後悔する。本当に無意味な人生だった」という内容だった。
絶対仕事辞めるマンは以前から「FIRE族」になるために卵と梅干しばかりを食べながら貯蓄する写真を載せ、話題になった人物だ。
–韓国も「絶対仕事辞めるマン」のように預金・積立金で資産をつくる人が多いが。
秦氏「金利は人為的要素が強い。日本政府は人為的政策を通じて本来の水準でなく低金利を維持してきた。今のようなインフレ時代にこうした超低金利が維持される場合、所得と元金は減るしかない。預金だけでは対応が不可能だ。最近の日本メディアによると、80代の高齢者の通帳を見たところ、その年齢になるまで貯蓄額の80%がそのまま残っていたという。国家経済的にもお金が回らないということだ。預金・積立金ばかりに依存する雰囲気が変わらなければいけない」
キム氏「日本と似た道を歩んでいる韓国の人口構造を見ると、経済活力は落ちていくだろう。韓国銀行(韓銀)の報告書によると、第1次ベビーブーマーが引退した2015-23年に経済成長率が0.33%ポイント落ち、今後、第2次ベビーブーマーが引退すれば2034年まで0.38%ポイントが追加で下落すると予想する。経済成長率が低下すれば金利も落ちるしかない。韓国が日本と同じ道を進むとみる場合、預金・積立金では引退後の準備が難しい。低金利リスクに備えるには国内資産中心から抜け出して海外資産、代替資産などに投資領域を広げなければいけない。配分原則を立てて長期的に分散投資するモデルを作ってこそ着実に収益率を高めることができる」
2024/08/13 15:51
https://japanese.joins.com/JArticle/322374