韓国政府がコリアディスカウント(韓国証券市場の低評価)を解消するとして打ち出した「企業バリューアップ(価値向上)政策」が施行から半年が過ぎた。増える自社株消却や配当拡大など変化の兆しが見える。だが、少数株主に一方的に不利な企業の安値合併と上場廃止などバリューアップに逆行する動きも続いている。特に「バリューアップ自律公示」をしている企業は指で数えられる程度しかなく、企業は相変らず業界の空気を読むのに忙しいという指摘が出ている。
14日、韓国取引所によると、今年に入って8日までの上場企業の自社株買いは2兆5000億ウォン(約2700億円)水準で昨年同期比約25.1%増加した。同期間、現金配当は39兆8000億ウォン規模で5%小幅で増加した。特に企業の自社株消却は8兆7100億ウォン規模で前年2兆800億ウォンに比べて318%の大幅増加となった。企業が自社株を消却すれば市中に流通する株式の数が減収して既存株主の株式価値が大きくなる。自社株消却は資本金を減らして企業の自己資本利益率(ROE)を高める効果もあり、強力なバリューアップ方案に挙げられる。
だが、バリューアップ政策の核心と見ることができる「バリューアップ公示」はまだ目標には遠い状況だ。韓国取引所によると、この日を基準としてバリューアップ自律公示をしたところはキウム証券・エフエヌガイド・コルマーホールディングス・メリッツ金融持株・新韓持株会社・ウリィ金融持株など6社にすぎない。近くバリューアップ公示を行うという予告公示をした企業もKB金融・DBハイテク・HKイノエン・コルマービーアンドエイチ・BNK金融持株・カカオバンク・KT&G・Com2uSなど8社に終わっている。2584(KOSPI844社、KOSDAQ1740社)の企業のうち、約0.5%しか公示に参加していないことになる。日本で4カ月間で約10%を超える企業がバリューアップ公示に参加したことと比較すると低調な数値だ。
ある運用会社のマネジャーは「バリューアップ公示をした企業の中には目標数字だけを提示して具体的な履行方法などは明らかにしない場合が多く、既に発表した二番煎じの場合もみられる」と話した。
一方では一部変化が感知されるという肯定的な評価もある。信栄(シンヨン)証券のパク・ソヨン研究員は「増えた自社株消却や配当は確かに企業が株主還元の雰囲気に気を遣う様子」としながら「少数株主の声が大きくなったことから株主還元強化は逆らうことはできない流れ」と説明した。
VIP資産運用のチェ・ジュンチョル代表は「ウリィ金融持株がバリューアップ公示で総株主還元率を40%以内と40%超過に分けてシナリオ別に株主還元計画を立てた点が印象的」としながら「企業が短期ではなく中・長期的株主還元策を打ち出している点も肯定的な流れ」と話した。一例としてロッテレンタルは最近の業績発表で3年間当期純利益を30%配当に使い、10%は自社株買いおよび消却に使うと明らかにした。
ある証券会社WM(資産管理)センター関係者は「最近地方の中堅企業の中でもバリューアップ説明を要請するところが多い」とし「相続が終わった企業は株価や企業評価を引き上げる機会だと判断しているようだ」と雰囲気を伝えた。
特に企業はバリューアップ公示をしない場合、投資家が配当所得税分離課税や低率課税など税制改編案の恩恵を受けることができない点、バリューアップ指数に含まれない場合には投資家から無視されることもある点などを敏感に受け止めている。金融当局は KOSPIやKOSDAQを含めて少なくとも100社以上の企業を編入させて9月中にバリューアップ指数を発表する計画だ。
2024/08/15 15:08
https://japanese.joins.com/JArticle/322479