韓国の国防部長官候補のキム・ヨンヒョン氏が、4年前のあるセミナーで「核武装なしにわれわれの生存と未来はない」と主張したことが確認された。韓国は核兵器不拡散条約(NPT)加盟国であるため独自の核武装は不可能だが、そのような状況を無視した主張だ。そればかりか、韓米同盟を基盤にした拡大抑止という尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の基調にも反するという指摘が出ている。
ハンギョレが18日に祖国革新党のチョ・グク議員室を通じて確保した、2020年6月の「6・25戦争(朝鮮戦争)70年 回顧と反省」と題する政策セミナーの映像によると、キム候補は「日本は核武装に取り組むだろう。北朝鮮と日本まで核武装をすれば(韓国は)周辺国から核で包囲される」とし、このように述べた。明確な根拠もなく「日本の核武装」を断定し、独自の核武装論を展開したのだ。キム候補は16日の出勤途中の取材でも、独自の核武装の可能性に関する記者団の質問に対し「すべての手段と方法は開かれている」と答え、こうした考えが依然として変わっていないことを示した。当時のセミナーは、シン・ウォンシク国防部長官兼大統領室国家安保室長が「国民の力」の議員だったときに主催したもの。
キム候補はセミナーで、独自の核武装が国際的な経済制裁につながるという指摘に対して、「米国は同じ理念の国が核武装する場合は経済制裁を非常に軽くしたり、あるいは全くしていない」とし、英国やフランス、インド、パキスタン、イスラエルがそのような事例だと説明した。しかし、英国とフランスはNPTが作られる前に核を開発したため、参考すべき事例ではない。またインド、パキスタン、イスラエルは実質的な核保有国であるがNPTに加盟しておらず、韓国とは事情が異なる。キム候補はこのような背景を切り離し、まるで韓国独自の核武装が可能であるかのように事実関係を歪曲したということだ。
キム候補は2021年1月6日付の中央日報のコラムでも「最悪の状況に備えた戦術核の再配置や自衛権的な核武装という切り札を念頭に置く必要がある」とし、同様の主張を展開した。韓国経済の2020年2月5日のコラムでは、「NPTの第10条1項には『国家の利益を危うくしていると認める場合には(条約から)脱退する権利を有する』と明記されている」と述べた。
これに対してチョ・グク議員は「韓国が独自の核武装を主張するだけでも、北東アジアでの安全保障上の不安は全く新しい次元の問題となる」とし、「日本や台湾の核武装を触発させ、中国・ロシア・北朝鮮との核競争で安保の不安が加重されるだけだ。このような無能で危険な人物は、国防長官としてふさわしくない」と述べた。
2024/08/19 07:53
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