5日にアジアの金融市場を揺るがした原因のひとつとして「円キャリートレードの巻き戻し」が挙げられた。金利が低い円を借りて米国債券など高金利資産に投資する円キャリートレードを通じてアジアの証券市場に流入した資金が抜け出し株価を引き下げ、ドル資産を売った資金で再び円を買い入れて円も上昇に乗った。この2週間で暴落の衝撃は落ち着いたが、今後も円キャリー巻き戻しがあるかは依然として霧の中だ。
主要外信によると、円キャリー資金は途轍もない規模と推定されるだけに正確な統計はない。円キャリーは30年以上続いた日本銀行の超低金利政策の産物であるためだ。資金規模推定値も機関によりまちまちだ。ドイツ銀行は20兆ドル(約2931億円)、JPモルガンは4兆ドル、UBS日本法人は5000億ドルと推定する。
豊富な流動性と取引量を基にした円にこれまで機関投資家とヘッジファンドだけでなく個人投資家まで手を出した。これらは0.1%と金利が低い円を借りて米国債券など高金利資産に投資した。市場はドル資産に投資した円キャリー資金の年間収益率を5~6%程度とみる。
円キャリー巻き戻しが相当部分進んだということに大きな意見差はない。JPモルガンは8日基準で「世界の円キャリートレード資金のうち現物に投資された資金の75%ほどが巻き戻された」と推定した。UBS日本法人は円キャリートレード資金が今月に入り50%が清算されたとみられるという分析を出した。
フィナンシャル・タイムズなどによると、一部専門家らは円キャリーが使われた投機的な取引はほとんどが巻き戻されたとみている。信栄(シンヨン)証券のアナリスト、チョ・ヨング氏は「リスク資産に投資した資金中心に60%程度清算されたと判断する」と話した。
大信証券のイ・ギョンミン研究員はこの日報告書を通じ「8月中旬以降の円キャリー巻き戻しによる悪循環の輪が弱まり円相場の騰落に関係なくナスダックは上がる兆しを継続する状況。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ水準とその直後に開かれる日本銀行の金融政策決定会議を経てもう一度円変動性拡大と円キャリー巻き戻しの動きが再現される恐れがある」と明らかにした。ただ世界の金融市場の影響力と流動性変化の加速度は顕著に落ちる見通しだと予測した。
変数は日本の政治的不確実性だ。日本の岸田文雄首相が次期自民党総裁選挙に出ないと明らかにし、日本銀行の利上げ経路が不透明になるためだ。次期首相として有力な候補らはほとんどが日本銀行の超低金利を支持してきた。
2024/08/20 07:24
https://japanese.joins.com/JArticle/322601