韓国軍が、4兆7000億ウォン(現在のレートで約5100億円。以下同じ)分のアパッチ攻撃ヘリ(AH64E)を米国から購入する。アパッチは異論の余地なく世界最強の攻撃ヘリだ。韓国軍は2017年にアパッチ36機を実戦配備したが、今回、同じ機数を追加配備するのだ。
だがウクライナ戦争でヘリは、無用論が出るほどに力を発揮できていない。最近、ロシア軍の攻撃ヘリMi28がウクライナのドローン攻撃を受けて墜落する動画が公開された。攻撃ヘリが実戦でドローンにやられたのは初めてだという。200億ウォン(約22億円)を上回るロシア軍のKa52攻撃ヘリなども、1000万ウォン(約110万円)前後のMANPADS(携帯式防空ミサイルシステム)によって次々と撃墜された。今年2月には「ロシアは攻撃ヘリの40%を失った」という外信の報道が出た。ウクライナの戦場は「ヘリの墓場」と化した。米国のアパッチは、ロシア製のヘリより安全面で優れているというが、地対空防御網に引っかかると撃墜は避け難い。もともと攻撃ヘリは、敵の戦車や陣地を破壊し、味方の作戦を容易にする近接支援の役割を果たしてきた。だが現在はドローンや携帯式ミサイルの発達で、従来の運用ドクトリン(原則)を変えなければならない状況になっている。
今年初めに米陸軍は、既に20億ドル(約2900億円)を投じた次世代攻撃・偵察ヘリ事業をキャンセルすると発表した。米陸軍の参謀総長は「(ヘリの)空中偵察が根本的に変わったということをウクライナの戦場で学んでいる」と語った。「無人システムの方が、より遠くへ到達し、より安くなった」とも語った。米軍は、ヘリに代わる無人機や有人・無人複合システムへの投資を増やしている。既に米国では有人ヘリの運用を再検討しているのだ。日本の自衛隊も、ウクライナ戦争前はアパッチ・ヘリを追加配備しようとしていた。ところが戦争の様相が前例のない方向へと流れていったことを受け、ヘリの契約をキャンセルし、無人攻撃機を増強することにした。
防衛事業庁は「ドローンは信頼性のある打撃が難しく、限界がある」と述べた。ウクライナと韓半島では地形が異なり、攻撃ヘリの有用性も国によって違うということはあり得る。しかし、より根本的な理由は、ウクライナ戦争前に追加配備を決定したことを変えられなかったからだろう。実際の戦争以上に大きな教訓を与えるものはない。ウクライナ戦争は、ドローン戦争時代の訪れを明確に示している。韓国軍が、惰性ではなく革新的思考に基づいて国民の巨額の血税を使ってくれたらと思う。
2024/08/21 13:00
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