「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は韓日間シャトル外交次元でいつでも岸田首相に会う用意がある」
20日、日本メディアが岸田文雄首相の9月訪韓の可能性を提起すると韓国大統領室が明らかにした立場だ。岸田首相は9月27日に行われる執権自民党総裁選への不出馬を宣言した。辞退の意思を明らかにした日本首相の訪韓は異例だ。そのうえ韓国最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は再任直後の19日、初の最高委員会議から「大統領室が配慮しなければならないことは大日本帝国の天皇ではなく大韓民国の国民の気持ち」としながら連日批判を繰り返している状況だ。
これに先立って明らかにした立場のとおり、大統領室は野党の批判を意に介さなくなっている。むしろ大統領室関係者は「野党のように言葉だけで竹槍歌を叫ぶことは民生に何の足しにもならない」とし「韓日関係正常化を蔑視しようとする試み」と反論した。
今月初め、光復会の李鍾贊(イ・ジョンチャン)会長がニューライト系要人だとして独立記念館の金炯錫(キム・ヒョンソク)館長の辞退を要求したことを基点に、15日の尹大統領の光復節(解放記念日)祝辞の後、野党の親日攻勢は本格化した。祝辞に日本に対する批判と過去の歴史について指摘する言及がなかったというのが主な理由だ。
大統領室参謀も祝辞を準備しながら野党の攻勢を予測した。だが、尹大統領が「今は光復節祝辞に未来に対するメッセージを入れなければならない時」とし、反日よりも克日の重要性を強調したという。そのため祝辞に入ったのが「昨年韓国の1人当たり国民所得は初めて日本を超え、今年上半期韓国と日本の輸出格差は歴代最低の35億ドルを記録した」とし「大韓民国の青年たちは挑戦を恐れないで力強く未来へと飛躍している」という部分だ。尹大統領は祝辞にフェイクニュースとうその扇動に対する批判も入れた。
総選挙直前まで日本汚染水論争を提起し、その後沈黙する野党を指摘する側面もあったという。
大統領室の核心関係者は「尹大統領も日本を批判すれば支持率が上がることはよく知っている。だが、国益には役に立たないのでしないだけ」としながら「文在寅(ムン・ジェイン)政府で崩壊した対日サプライチェーンは昨年になって回復した」と強調した。ただし、大統領室内部でも17日のKBS(韓国放送公社)インタビューで「過去の問題で重要なのは日本の心」という表現を使った金泰孝(キム・テヒョ)国家安全保障室第1次長の発言に物足りなさをにじませる者も少なくない。ある大統領室の参謀は「脈絡から見ると大きな問題のない発言だが、国民感情に触れる側面があった」とした。
今回の岸田首相訪韓の可能性を巡って強固になった韓日関係を再確認するという評価もある。どの政治家が自民党の総裁を引き受けても、韓日関係正常化を継続しようとする意志が両国双方にあるという意味にも取れるからだ。尹大統領は14日に岸田首相が総裁予備選への不出馬を宣言をした時、別途のメッセージを出さなかった。まだ岸田首相が現職であり、総裁職から退いた後も韓日関係に重要な役割を果たす人物であることから、関係を継続したいという意志の表れというのが大統領室の説明だ。
尹大統領は特に参謀に「他の国の指導者が退くといって関係を疎かにしてはいけない」という要請も数回伝えたという。大統領室高位関係者は「バイデン大統領が不出馬を宣言した時にメッセージを出さなかったのも同様の理由」とし「韓米、韓日関係に今も重要な役割を果たしている指導者を離職者扱いしてはいけないというのが尹大統領の考え」と話した。
2024/08/21 15:44
https://japanese.joins.com/JArticle/322719