来年3月から高校生が使用する韓国史の検定教科書のうち、ニューライト系の執筆陣が書いた教科書をめぐり、「歴史歪曲」だとして物議を醸している。日本軍慰安婦問題を小さくし、独裁政権を擁護しようとする意図が強いためだ。しかも、イ・ジュホ教育部長官の青年補佐役が該当の教科書の執筆陣に含まれていたとするメディア報道もなされた。教育部は沈黙で一貫している場合ではない。
教育部は最近、新教育過程にともなう小中高の検定教科書の審査結果を官報に掲載した。問題になった教科書は韓国学力評価院の韓国史の教科書だ。この出版社は今回初めて歴史教科書検定を通過したが、韓国近現代史の人物と事件を叙述した「韓国史2」の内容が他の教科書と大きな違いをみせている。日本軍「慰安婦」については、性搾取に関する具体的な言及の代わりに、「若い女性たちを中国や東南アジアなどの地に連れて行き、むごい生活をさせた」と記した。他の教科書に比べ「慰安婦」問題に関する説明を減らし、表現も可能な限り抽象的に書いたのだ。また、李承晩(イ・スンマン)元大統領を大きく取り扱い、「独裁政権」という表現の代わりに「長期執権」した政権と叙述するかと思えば、朴槿恵(パク・クネ)政権の国政壟断事件は「民間人国政介入疑惑」と書き、その意味を希薄させた。
特に執筆陣の偏向した歴史認識は、教科書の執筆を引き受けてはならないほどきわめて不適切な水準だ。彼らはかつて学術セミナーなどを通して、「自由党政権と軍人政権の時期の政策によって、民間人が負傷したり死亡することになった痛ましい過去を示すことができず、いらいらした」や、「日本は強者であり悪漢国であり、朝鮮は弱くて善良な国だとする図式の二分法で書いた自己憐憫の叙述」だと主張するかたちで、既存の教科書を問題にした。韓国学力評価院の「韓国史1」の教科書は、過去の国定教科書の一部を盗作したという疑惑まで提起された。これに先立ち、従業員が6人しかいない該当の出版社の執筆能力に疑問が提起されたことがあるが、実際に不十分な執筆だとする論議につながったのだ。
教育部は、検定過程で政府が出版社に修正要求をした部分があるか、反映された部分があるかなどについては、公開しない方針だという。教育部長官の青年補佐役は昨年、教育部に提出する前の教科書の草稿にだけ関与したと釈明したことがあるが、先月21日に執筆陣から外れた事実も新たに判明した。教育部は今回の検定過程で提起された懸念と疑惑について、国民が納得できるように答えなければならない。
2024/09/03 06:49
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