「高帯域幅メモリー(HBM)供給過剰論」で19日、韓国半導体株は動揺したが、日本半導体装備会社など海外の業界ではAI(人工知能)用メモリーであるHBMのために投資を増やしていることが明らかになった。
19日、サムスン電子とSKハイニックスの株価はそれぞれ2.0%、6.1%下落した。秋夕(チュソク、中秋)連休中だった15日、証券会社モルガン・スタンレーはDRAMメモリーの需要が減ってHBMは供給過剰になるとして両社の目標株価をそれぞれ27%と54%低くしたことから、これが韓国株式市場が始まった19日の株価に反映された。
しかし、モルガン・スタンレーの診断とは違って、国内外の半導体業界はHBM市場の追加成長に相変らず備えている。18日、日本経済新聞は東京エレクトロン(TEL)、ディスコ、TOWAのような日本主要半導体装備会社がHBMの需要急増のために韓国内に工場や研究開発(R&D)センターを新設し、採用規模を拡大するなど投資を増やしていると報じた。SKハイニックス・サムスン電子のような韓国企業がHBM市場の9割を占めているが、韓国を中心に構築されているHBMサプライチェーンに乗るために日本装備企業が韓国に投資するということだ。
忠清南道(チュンチョンナムド)によると、半導体モールディング装置世界1位のTOWAが天安(チョナン)第3工業団地内1万6136平方メートルに半導体封止(モールド)装置の設備施設を拡張して来年から稼動する計画だ。製造能力を現在の2倍に増やす計画で、TOWAは日経に対して「市況に浮き沈みのあるメモリー製品で、HBMは市場の伸びが(確実に)見込める。顧客の近くで供給体制を固める」と明らかにした。日経は、半導体ウエハー切断装備1位のディスコも今年から韓国採用を増やすと伝えた。
TELは京畿道龍仁(ヨンイン)に2026年の稼働を目指して韓国内に4カ所目となるR&Dセンターを新設し、過去5年間で装備技術者を中心に人員を2倍に増やしてきた。TELコリア側は中央日報に対して「上半期に3桁台の採用を進めたが、下半期にも採用を行う計画」と明らかにした。
HBM供給過剰論の母胎は「AIバブル論」だ。今はマイクロソフト・グーグル・メタのようなビッグテックが先を争ってAIインフラ構築に巨額を注ぎ込んでいるが、大衆的なAIサービスが出てこない場合にこのような支出は果たして続くのか、という懐疑的な視線が引き金となった。高騰を続けていたエヌビディア株が先月初めから数回、急落と回復を繰り返している背景だ。
しかしエヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は先週米国で開かれたゴールドマン・サックス主催の技術カンファレンスで「需要が非常に多く、それぞれ1等、最高を目指している」とし「顧客がより感情的になっていて緊張している。我々は(供給に)最善を尽くしている」と話した。需要が停滞するどころか、AIチップを先に受け取りたいという顧客の催促に苦しめられているとし、「AIバブル論」を一蹴した。
エヌビディアの次世代AIアクセラレータ「ブラックウェル(Blackwell)」の設計欠陥事件がHBM業界には好材料という分析も出ている。年末発売予定だったブラックウェルに技術的な問題が見つかりエヌビディアが設計を一部変更したが、既存の設計はHBM3E(第5世代)8層製品8個を入れたが、新たに変えた設計にはHBM3E12層が4個が入るといわれている。HBMの層数が増えればそれだけ高い技術力が求められる。そのおかげで最新HBMを製造することができるSKハイニックスとサムスン電子、マイクロンの3社が忙しくなった。HBM用装備を供給するある国内半導体装備会社の役員は、中央日報に対して「ブラックウェル事件でむしろ12層HBM3E市場がより早く開かれることになり、HBM業界の状況はより良くなった」と話した。
半導体業界では「HBM供給過剰」説が誇張されたものだという見方が強い。工業製品であるDRAMとは違い、HBMは顧客との事前協議を終えた後に製作するオーダーメード型メモリであるためだ。5月、SKハイニックスのクァク・ノジョン代表はHBMの2025年生産分まですべて売れたと明らかにしたことがある。日本装備業界の関係者は「半導体会社の株価が下落したものの、ファンダメンタルズ(基礎体力)には変動がなく、市場をみながら投資は継続している」と19日、中央日報に話した。
2024/09/20 10:45
https://japanese.joins.com/JArticle/323953