安楽死の一種である「自殺幇助(ほうじょ)」が許されるスイスで、初めて「自殺カプセル」が使われ、自殺幇助をどこまで許容するのかをめぐり、論議が再燃している。
スイス北部のシャフハウゼン警察は24日声明を出し、最近60代半ばの米国人女性が「サルコ」(Sarco)という名の自殺カプセルを利用して命を絶った事件に関連し、自殺を助長し幇助した容疑で関連者を逮捕したことを明らかにしたと、AP通信が報じた。
サルコは睡眠カプセルのような自殺器具だ。人が入った後にふたを閉じると、「あなたは誰ですか、ここはどこですか、ボタンを押すと、どのようなことになりますか」などを尋ねる自動音声が流れる。質問に答えてボタンを押すと、窒素が吹き出てくる。すると、数分後には人は眠ったまま息をひきとるという。サルコカプセルはフィリップ・ニチケ医師が考案した道具で、今回初めて使用された。
スイスは他人の助けを得て自ら命を絶つ安楽死の一種である「医師による自殺幇助」(Physician Assisted Suicide、PAS)は、一定の要件が満たされた場合は処罰されない。スイス政府のウェブサイトによると、少なくとも、「外部の(直接的な)助け」なしに自ら命を絶つ限り、自殺を助ける動機が「自身の利益や必要」ではない限り、処罰されない。オランダなどで許される医療スタッフが直接患者を死亡させる「積極的安楽死」は認められていない。
スイスでは外国人にも自殺幇助が可能なため、韓国と日本を含む各国から多くの人が訪れることが知られている。スイス国内には自殺幇助を手伝う団体がいくつかある。
しかし、かなり前から、合法的な医師による自殺幇助と違法な自殺の助長および幇助の区別が曖昧だという声が絶えなかった。何人かの議員は、自殺に関する法の弱点を埋めるための追加立法が必要だと主張している。
自殺カプセルの登場は、このような論議を再燃させた。サルコカプセルの使用を支持するオランダの安楽死団体「エグジット・インターナショナル」(Exit International)はこの日声明を出し、ニチケ博士が「サルコが当初企画されたとおり、正確に薬品を使うことなく効果的かつ平和な死を提供してくれてうれしい」と述べたことを明らかにした。医師による自殺幇助を手助けするスイス団体「ラスト・リゾート」(The Last Resort)のフロリアン・ウィレット共同議長は、自身が1人だけで今回のサルコカプセルによる臨終を見守ったとして、「平和かつすみやかで威厳ある死」だったと主張した。
しかしスイス当局は、サルコカプセルがスイス法上の安全基準を満たしていないとして、使用を許可していない。エリザベト・ボームシュナイダー内相は23日、議会に出席し、サルコカプセルの使用について「製品安全法の要求を満たせないため、流通してはならない」と述べた。またボームシュナイダー内相は、窒素の使用が化学物質法で規定された条項とも両立しない」として処罰の可能性を示した。
2024/09/25 20:02
https://japan.hani.co.kr/arti/international/51192.html