◇金東官のハンファオーシャンvs鄭基宣のHD現代
特殊船とMRO市場でのハンファオーシャンとHD現代の競争は、ハンファの金東官副会長とHD現代の鄭基宣副会長の代理戦の性格が濃厚だ。鄭基宣副会長はHD現代グループの核心である造船業で確固とした1位を守りグループの成長を率いなければならず、大宇造船海洋を買収して造船業に参入した金東官副会長としては新事業で確実な成果を出さなければならない状況だ。同年代の創業3世経営者として経営能力を立証しなければならない2人の競争には造船業界だけでなく財界の関心も多い。
ライバル企業2社は現在、韓国型次期駆逐艦(KDDX)事業者選定をめぐってもグループの命運をかけて戦うところだ。総事業費7兆8000億ウォンに達するKDDX事業の概念設計はハンファオーシャン、基本設計はHD現代が受注した。詳細設計と1番艦建造選定をめぐり双方の立場が分かれている。
今後2人の若手オーナーの神経戦はさらに激しくなる見通しだ。オーストラリアに続きカナダ、東南アジアでも艦艇と潜水艦など受注競争が避けられないためだ。未来の収益源に選ばれる米海軍艦艇MRO事業で両社の神経戦はすでに始まった。
防衛産業をグループの核心に置いたハンファは艦艇MROに積極的だ。ハンファオーシャンはハンファシステムとともに6月に1億ドルで米フィラデルフィアのフィリー造船所の株式100%を取得して買収した。韓国企業による米国造船業への進出は今回が初めてだ。ハンファオーシャンはこのほか、オーストラリアの防衛産業・造船事業者オースタルの買収も推進している。同社は米海軍に船舶を納品する防衛産業事業者だ。
HD現代はMRO事業には慎重な姿勢だ。ハンファオーシャンより先に米海軍の補給体系司令部と艦艇整備協約(MSRA)を締結したが、受注戦に積極的に取り組む状況ではない。ただ鄭基宣副会長は先月4日にソウルで開かれた韓米日経済対話に参加し、「艦艇事業はわれわれが得意だ。HD現代も近い将来MRO事業に参加するつもりだ」と話した。
◇金の卵を産むガチョウ? 日本との競争は
専門家らは艦艇MRO事業の場合、ハンファオーシャンとHD現代はすぐに収益性を求めるよりは、長期的な観点から投資するべきだと診断した。事業初期には整備事業に向けた新規投資など費用支出が稼ぐ収益よりも大きくなることもあると分析される。釜山(プサン)大学のシン・スンミン招聘教授(予備役海軍准将)は「韓国の造船所がMRO事業で収益を得るには、韓国が作った艦艇を輸出して今後のMROまで責任を負うシステムが備わらなければならないだろう」と話した。
MRO事業にはさまざまな付帯費用がかかる。整備に向け入港した艦艇乗組員の韓国滞在費用まですべてMRO事業を担当する造船所で担当しなければならず、セキュリティを最優先に考える米海軍の条件に合わせるためセキュリティ設備分野への追加投資もしなければならない。
米海軍で特殊船事業とMROプロジェクトを進めた米ミシガン大学のジョナサン・ペイジ教授は、米海軍のMRO外注事業が韓国の造船所には大きなチャンスになるだろうと助言した。米国の立場では自国の造船所で対応しきれない艦艇のMROを友好国である韓国と日本に任せるほかないためだ。こうした観点から日本の造船所は韓国の最も大きなライバルとも分析した。日本はすでに韓国の造船所より早く米国艦艇MROサービスを提供してきた。
2024/10/08 11:02
https://japanese.joins.com/JArticle/324660