「ハン・ガンさんの本は本当によく売れています。在庫がほとんどなくなったのですが、いつ入荷するかわかりません」
13日、日本の大型書店「紀伊國屋」東京本店の書店員はノーベル文学賞受賞後、日本でも巻き起こった「ハン・ガン・ブーム」をハンギョレにこのように説明した。この日訪れた紀伊國屋2階の文学コーナーには「祝ノーベル賞文学賞受賞Han Kang」と書かれたプレートと共にハン・ガン氏の特設コーナーが作られていた。
ところが、ハン・ガン氏の代表作とされる『少年が来る』、『菜食主義者』、『別れを告げない』はすでに売り切れとなっていた。ハン氏の別の小説『すべての、白いものたちの』(2016年、日本語版2018年)、エッセイ集の『そっと 静かに』(2007年、日本語版は2018年)なども2冊ほどしか残っていなかった。『そっと 静かに』は韓国では絶版となった本であるうえ、海外では日本でしか翻訳書が出版されていないため、さらに「貴重な本」になっている。
ハン・ガン氏の本が並べられた周りには、以前のノーベル文学賞の主要受賞作であるヨン・フォッセ氏の代表作『三部作【トリロギーエン】』(2021年・日本語版は2024年)、日本作家である川端康成の『雪国』(1968年)と大江健三郎の『死者の奢り』(1994年)のような本が積まれていた。
本を選んでいたある日本の読者は「以前から韓国文学について興味があったが、ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞の知らせを聞いて買ってみようと思って本を選んでいる」と語った。また別の日本人読者は「ハン・ガンさんを以前から知っていた」とし、「日本にもよく知られている(ハンさんの)本はほとんど売り切れになっており、『すべての、白いものたちの』と2冊だけ買って帰るつもりだ」と残念がった。
この日、マゾンジャパンの文学分野ベストセラーにハン氏の作品『すべての、白いものたちの』と『別れを告げない』が4位と5位にランクインした。全体の販売数で集計される総合分野でも『すべての、白いものたちの』が8位に入った。
日本では2011年以後『菜食主義者』、『少年が来る』、『引き出しに夕方をしまっておいた』など漢江の作品7冊が出版社4社を通じて日本語に翻訳されている。出版社はノーベル賞受賞後、本のほとんどが在庫切れ状態なので、直ちに再版に入り、10月末頃に再び配布する計画だ。ハン氏の作品4冊を日本語で出版した「クオン」のキム・スンボク代表はハンギョレに「日本でハン・ガンサンのノーベル文学賞受賞を喜ぶのは、彼女の作品が不毛の地で突然現れたのではなく、日本の読者たちが翻訳書などを通じて長い間韓国文学を愛し、親しんできたため」とし、「今回の受賞を機にさらに多くの読者たちがハン・ガンさんだけではなく、韓国作家の作品を長い間じっくりと読むきっかけになればと思う」と語った。
日本のマスコミの好評も続いている。 日本経済新聞はこの日、「アジア女性初のノーベル文学賞受賞者に日本人が選ばれず残念がる(日本)人もいよう。が、隣人の文学に改めて目を向くきっかけを得たことはけ値なしにすばらしいことだ」としたうえで、「会社(日本経済新聞社)近くの書店をのぞいてみた。聞けばハンさんの本は瞬く間に売り切れたそうだ」と報じた。
朝日新聞も「ハン・ガンさんは日本での韓国文学人気を牽引(けんいん)してきた作家の一人」としたうえで、「作家への共感の広がりは、我々の想像力が、暴力や苦しみを乗り越えられる、少なくともその希望を持てる、のだと示しているのかもしれない」と評価した。
2024/10/13 20:49
https://japan.hani.co.kr/arti/international/51344.html