米国だけ「タカ派」に転じた…ドルの独走に日本・EU・韓国の不安拡散

投稿者: | 2024年5月1日

再び緊縮へ向かう米国と、緩和に背を向けようとする米国以外の国の通貨政策の行方が分かれ、外為市場を中心に金融不安が広がっている。

◇ドル指数年初比4%上がる

 ユーロ、日本円、英国ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフランの主要6通貨とドルの価値を比較したドル指数は30日に105を記録し、年初から約4%上昇(ドル高)を維持した。

今年初めのドル指数は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ方針に100ポイント台の低い水準(ドル安)を維持した。だが米国の消費者物価指数(CPI)上昇率と各種経済指標が予想より高く現れ雰囲気変わった。FRBのパウエル議長が「物価を抑えるのにもっと時間がかかりそうだ」としてタカ派的(通貨緊縮選好)立場に旋回すると16日のドル指数は今年最高値となる106.06まで上昇した。

実際に29日のニューヨーク・タイムズによると、150通貨の3分の2ほどが対ドルで年初より相場が下落した。日本円が10.0%、アルゼンチンペソが7.9%、ウォンが6.5%など大きく落ちた。

◇非米国の独自路線に為替相場格差拡大

こうしたドル独走は米国の強い経済のため発生した。ここに米国以外の主要国が米国と反対方向の通貨緩和で政策を転換したのも影響を及ぼした。いわゆる通貨政策のデカップリングだ。こうした政策方向の差が米国と米国以外の国の間の金利格差を広げる。通貨価値の差もさらに広がるほかない。

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は16日、米CNBCとのインタビューで「物価上昇鈍化が予想通り進み大きな衝撃がないならば限定的通貨政策を緩和する時期へ向かっている」と明らかにした。市場はこれを6月の利下げを既定事実化したものと受け止めている。6月の利下げの見込みがなくなった米国は年内の利下げ可能性まで試されているが、欧州は独自路線を歩むという意志を見せたのだ。

日本も状況は似ている。日本は最近17年ぶりにマイナス金利から脱出したが、追加利上げに対してはか線を引いている。日本銀行は26日、円安にもかかわらず金利を据え置いた。この日、日本銀行の植田和男総裁は記者会見で「基調的な物価上昇率に、円安がいまのところ大きな影響を与えていない」と述べた。これは金利決定においてドルと円の通貨格差をまだ考慮しないという意味と解釈できる。

◇ユーロと円に同調するウォンさらに下落も

米国以外の主要国の通貨政策独自路線が強化されるほど、外為市場を中心に金融不安がさらに広がる恐れがある。ドル高は米国が金利を上げ始めた2022年~2023年にも現れたが、当時は多くの国が金利を上げ始めたためある程度防衛が可能だった。だが今回は政策方向が互いに反対を向いており、通貨価値防衛に使えるカードが制限される。

実際に最近日本は超円安が続き、29日には一時34年ぶりに1ドル=160円を超えた。その後円相場は小幅に上がって落ち着いたが、これもまた日本の外為当局の市場介入の影響と推定され、今後さらなる円下落の可能性も出ている。

他の主要国の通貨が下落するとこれに同調するウォンの下落幅も大きくなる恐れがある。来月に予定されたFOMCでFRBが予想よりさらにタカ派的なスタンスを見せれば外為市場の動揺も広がる可能性が高い。梨花(イファ)女子大学経済学科の石秉勲(ソク・ビョンフン)教授は「欧州と日本で緩和的通貨政策を展開すればこれに同調する韓国のウォン相場もさらに下がりかねない。それでも為替相場のために金利を上げられる状況でもないため当分ドル高の状況を耐えなければならないだろう」とした。

2024/05/01 07:41
https://japanese.joins.com/JArticle/318090

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