1940年10月23日。満州地域で中国共産党所属の抗日武装団体「東北抗日聯軍の朝鮮革命軍」を率いた金日成(キム・イルソン)は中国琿春を経て旧ソ連の国境線を越えた。金日成は自身の回顧録『世紀とともに』(8巻)で「国際党(国際共産党)が遠東(極東)で開く会議に出席するため」と書いた。しかし当時、日本関東軍の大々的な掃討作戦を避けるために旧ソ連に根拠地を移したというのが定説だ。
その後、金日成は日本軍の手が届かないハバロフスク近隣のブヤチュック兵営に留まり、満州を行き来する形で抗日武装活動をして解放を迎えた。こうした縁で金日成はソ連の支持と後援を背にして北朝鮮の最高指導者となった。金日成は国際党会議出席と根拠地を移す問題について長くためらったが結局は良い決定だったと回顧した。
金日成が旧ソ連の国境を越えて84年が経過した今月初め、北朝鮮軍の大規模兵力がロシアの地を踏んだ状況が韓国情報当局に捕捉された。先発隊レベルの暴風軍団所属1500人がすでにロシアで現地適応訓練中であり、最大1万2000人がロシアに向かうというのが国家情報院の判断だ。生きるために根拠地を移した金日成の時代とは違い、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長はウクライナ戦争で苦労するロシアを支援するために動いたのだ。1960年代に修正主義者として、1980年代には変節者として旧ソ連を罵倒して非難した当時とは隔世の感がある。
◆北朝鮮のロシア派兵の疑問点
北朝鮮とロシアは両国の協力を「主権問題」としながらも、北朝鮮軍の派兵を公式的に否認している。それでも北朝鮮軍のロシア派兵の証拠は続いている。北朝鮮軍を乗せて移動するロシア艦艇を撮影した人工衛星写真やロシア地域と推定されるところで戦争物資の支給を受けるため列に並ぶ北朝鮮軍の映像などだ。北朝鮮軍の軍服と帽子のサイズを問うロシア側の質問用紙も公開された。この過程でいくつかの疑問が残るのも事実だ。
質問用紙に印刷された字体は韓国企業が開発したアレアハングルのものと似ている。ロシアや北朝鮮がアレアハングルを使用しているかは確認されていない。また質問用紙に「ロシア」と表記されているが、北朝鮮とロシアは共にハングルで「ロシア」を表記する場合「ロシヤ」という表現を使用する。質問用紙作成者の単純なミスなのか、グーグル翻訳機を活用して生じたハプニングなのかは疑問だ。
冬が近づいている状況で最近公開された質問用紙で夏用の帽子と軍服を申し込んでいる点もミステリーだ。冬用品に関連した質問用紙もあるが一部だけが公開され、長期戦または来年夏の北朝鮮軍の投入を念頭に置いた事前申し込みの可能性もある。
世界最高レベルの情報力を保有する米国は「ロシアに北朝鮮軍がいるという証拠は事実」としながらも「報道(北朝鮮軍の参戦)が事実なら憂慮される状況」という仮定法を使うなど慎重な立場だ。米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報担当調整官は21日(現地時間)、「我々はこのような報道を引き続き調査している」と話した。北大西洋条約機構(NATO)も来週初めに韓国当局者の具体的な説明を聞いてから立場を表すとし、留保の態度だ。米国が近いうちに独自の調査結果を出す予定であり、こうした疑問点は解消されるとみられる。
2024/10/24 14:18
https://japanese.joins.com/JArticle/325365